出版社内容情報
ラテン文字圏、ギリシア・キリル文字圏、アラビア文字圏、梵字圏、漢字圏--
五つの文字圏を比べてみると、世界の見方が変わる!
・科挙はなぜ中国社会内部の凝集力を高めたのか?
・日本は長子相続、イスラム世界では?
・箸、フォークとナイフ、右手指食、なぜ違う?
・洋装はいかに非西欧世界に受容されたか?
・なぜ音楽は国境、民族を越えるようになったのか?
・古代ローマと現代アメリカの同化力の限界とは?
・「異才」を育てるための条件とは?
・モンゴル帝国などの開放空間型集団が瓦解した理由
・文明成熟のためのキーワード「フィードバック」とは?
楽しみながら世界史のツボがわかる!
内容説明
ラテン文字圏、ギリシア・キリル文字圏、アラビア文字圏、梵字圏、漢字圏―五つの文字圏を比べてみると、世界の見方が変わる!
目次
プロローグ 文明が成熟するために
第1章 文明と文化とは
第2章 ことばと文字
第3章 知の体系の分化―宗教と科学と
第4章 文明としての組織 文化としての組織
第5章 衣食住の比較文化
第6章 グローバリゼーションと文化変容
第7章 文明と文化の興亡―文明の生き残る道
エピローグ 現代文明と日本
著者等紹介
鈴木董[スズキタダシ]
1947年、神奈川県生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、法学博士。東京大学名誉教授。オスマン帝国史、比較文明、比較文化に深い関心をもつ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あちゃくん
43
タイトルから想像した内容とは違っていたけど、世界史の本として楽しく読みました。今まで自分の中で世界を東洋/西洋/イスラムと3つに分けて捉えることが多かったけど、文字圏で5つに分ける見方を得れたのが収穫かな。2021/08/07
tamami
42
昔の高校「世界史」の授業を思い出しながら、楽しく読ませてもらった。「世界史」では、歴史の捉えがやや固定的で、古今東西の些末な事件や人名、事項を覚えることに汲々としてしまい、楽しむところまではいかなかったが、世界歴史の流れを大きく五つの文字圏で捉え、それぞれの言葉や文字の発生、干渉の過程に文化・文明の流れを見るのはダイナミックで、大変面白く且つ分かりやすい。こんな歴史の本を待っていた、というのが一つの感想である。内的凝集力と同化力といった視点で語られるそれぞれの文字圏の消長と共に、各時代や民族の生活・社会→2020/12/09
よっち
35
ラテン文字圏、ギリシア・キリル文字圏、アラビア文字圏、梵字圏、漢字圏。五つの文字圏という視点から見た文字世界で読む文明論。文明と文化、ことばと文字、宗教と科学、文化としての組織、衣食住の比較文化、グローバリゼーションと文化変容といったテーマから、文字圏がどのように変遷していったのか、それが文明や文化の概念にどのような影響を与えたのかを解説してゆく一冊でしたが、着眼点は面白くても内容はやや雑然としていて、もう少しうまく整理してくれるとだいぶ印象は変わったのかも。でも終盤のまとめはなかなか興味深かったですね。2020/09/21
さとうしん
16
「文字世界」「文字圏」という単位で読み解く文明論。箸食など食の作法と文字圏との関係、各文明の凝集力・同化力の度合いなど、個別のトピックには面白いものもあるが、肝心の文字・言語の話にそれほど分量を割いているわけではなく、深みもない。「文字」を基準とすることに著者なりのこだわりはあるのだろうが、そのこだわりの理由が見えてこない。2020/07/17
ピオリーヌ
13
同著者の『文字と組織の世界史』を踏まえるとより理解が深まる。オスマン帝国の西洋化改革といえるタンズィマート改革について、体系的な経済政策は打ち出されず、この点殖産興業が目指された日本の明治改革との差異が際立つとする。またエピローグではこのような指摘も。「日本を礼賛する最近の反中国論は、一時期、追い抜いたかに見えた日中のバランスが、中国優位に傾きつつある状況への焦りの表出に過ぎないのではあるまいか」2021/05/20