内容説明
キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく…。徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
908
ヘミングウェイの生前に発表された最後の長編小説。ヘミングウェイが53歳の時のもの。ここには、ある意味でヘミングウェイの美質がことごとく凝縮されているかの感がある。相変わらずハードボイルドな作家だ。そして、それほど長くないとはいえ、ともかく1篇の長編小説の大半を1人の老人だけを描きながら、それでいて見事にリアリティを保っている。少年との間には暖かな愛の通い合いがある。それはカジキとの間にさえも。老人が生きてきた過去は、ライオンの夢の中に凝縮されているのだろう。つまりロマンティックな要素もまた持っている。2015/06/19
zero1
533
人生は闘いか?それとも夢?「白鯨」と比較されることが多い偉大なる人生賛歌!1952年に出たノーベル賞作家の代表作を久しぶりに再読。84日間不漁だった老人サンチャゴ。彼を慕うマノーリン少年は何かと気に掛ける。笑われながらも老人は今日も海へ。大自然の中の孤独。外面描写と独り言で大部分が描かれる。巨大なカジキマグロと格闘する老人。闘いに勝ったはずだったが。翻訳はシェイクスピア全集で知られる右の論客、福田恒存(94年没)。本書が米文学の欠点を克服したと評価。読者の年齢で解釈が大きく変わる、単純だが深い作品。2019/05/04
ehirano1
355
人生のメタだと思いました。人生ってジイジの一日の顛末とだいたい同じじゃないかと思います。毎日が闘い、そしてだいたい他に持ってかれる。それでも毎日闘うんだと、そこに意味とか意義なんて求めなくていい、そんなものは人生の最期を迎える時に分かればいいのさ、と。2015/01/16
yoshida
332
高校時代に読んで以来の再読。この作品は人間の持つ不屈さを訴えていると感じる。老いた漁師のサンチャゴは不漁が続く。挽回を期す彼は沖合いで漁をする。巨大なカジキが喰い付く。サンチャゴは一人で漁をしている。サンチャゴとカジキのあたかも対話のような漁が二日間続く。遂にサンチャゴはカジキに勝利する。巨大すぎたカジキは舟に乗せれず舷側に繋ぐ。今度はカジキをサメが襲う。カジキはサメに下半分を喰われてしまう。サメと戦いながらサンチャゴはハバナに帰還する。屈せざるサンチャゴ。サンチャゴの不屈さと気概が胸を打つ。名作である。2017/04/22
ヲム
276
老人が鮫と闘う描写が素晴らしいと思いました。 何となく小さい頃に見た「ジョーズ」を思い出しました。 是非、舞台となったキューバに行ってみたいです。2020/05/22