出版社内容情報
同じ保育園に子供を預ける三人の母親たち。それぞれが抱く痛みにも似た孤独と、母であることの震えるような幸福。著者がもてるすべてを注いだ最高傑作！
内容説明
同じ保育園に子どもを預ける三人の若い母親たち―。家を出た夫と週末婚をつづけ、クスリに手を出しながらあやういバランスを保っている“作家のユカ”。密室育児に疲れ果て、乳児を虐待するようになる“主婦の涼子”。夫に心を残しながら、恋人の子を妊娠する“モデルの五月”。現代の母親が抱える孤独と焦燥、母であることの幸福を、作家がそのすべてを注いで描きだす、最高傑作長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takaC
145
金原さん初読み。大変に重い内容で、読み終えるのにかなり時間を割いた。角田光代『森に眠る魚』風な展開かと思いきや、ユカも涼子も五月ももっと利己的で未熟だった。これが社会の現実ならばとても虚しいが、特に涼子はありえそう。2012/05/16
そのぼん
126
予想外に重いストーリーでした。三人の母親の目線で進んでいき、育児の難しさを感じました。こういうことは実際に母になってみないとわからないんだろうなぁ・・・。母親である三人の女性の性格や生き方が全員バラバラで、そこも現代の女性の様々な生き方を見ているようでした。2012/10/25
ひめありす＠灯れ松明の火
124
正直に言って怖くなった。きっと子供を産んだら。私は今の私ではなくなる。ふわふわしていて誰からも『子供大好きだよね？』と聞かれる様な私には。『蛇にピアス』を読み終わって、そのあとの作品でついていけなくて挫折して、でもどうしてだか『マザーズ』は読まなくてはならないと思った。そこに、狂おしいまでに求めた物がある。私は母親って言うのはこの世で最も孤独で、愚かで、幸福で、憐れっぽい生き物だと思う。自分で生み出した神様に翻弄されて、だけどその身に余りある祝福を受ける。誰にも為り変われない。私は私だけ。あなただけの私。2012/07/24
風眠
121
それほど厚みのある本ではないのに、読んでも読んでも進まなくて、読み終えるまでに何日もかかってしまった。それぐらい内容の濃い熱のある力作だったと思う。それぞれの事情がある3人の母親が、クスリ、虐待、不倫相手の子どもを妊娠、という問題を抱えながら育児をしていく圧倒的な孤独が胸に迫る。それぞれの母親の心理描写がとにかく素晴らしくて、育児の過酷さと共に、押し付けられた価値観と、現実の狭間で揺れる母親たちの想いがびっしりと書き込まれている。母親は理屈ではない、愛すること、傷つけることもまた、紙一重であるということ。2012/06/25
♡手嶋♡
113
文庫化まで我慢できずにハードカバーで購入。「トリップ・トラップ」で違和感を感じた、｢母｣というキーワード、そして今回３人の主人公も母親。ま、まさか金原さん出産したのでは！？疑惑が私の中で浮上。序盤～金原さんの小説じゃないものを読んでるような大人しさで、中盤から一気に金原ワールド全開。テンションあがりました。まってましたー！からの、後半に向けてのまたまた落ち着き具合。そのまま読了。私にとってはもやもやハッピーエンドに感じ受けました。思いっきり突き飛ばして超絶バットエンドにしてほしかったなぁと…↓つづき2016/09/30
