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中公新書
科学の世界と心の哲学―心は科学で解明できるか

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  • サイズ 新書判/ページ数 190p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121019868
  • NDC分類 401
  • Cコード C1210

出版社内容情報

科学万能論と科学への不信が交錯する現代。近代科学の目的と規範と再点検し、心という現象の解明に哲学が不可欠であることを示す。

内容説明

科学や技術の圧倒的な進歩によって、私たちを取り巻く多くの現象が解明されてきた。そうした中、「認識論の自然化」、「心の哲学の自然化」と呼ばれる考え方が登場し、心も科学で解明されると主張する。本書では、近代科学が産声を上げた一七世紀に遡って、科学の目的と規範を明らかにし、心が科学によっては解明し尽くせないことを示していく。消去的唯物論や認知的アプローチなど科学主義路線の限界を示し、デカルトが提出した「心身合一」概念の豊かな射程を再評価する。

目次

第1部 科学の目的と規範(近代科学の原点―一七世紀における科学革命と近代科学の形成;科学的知識の三つの基本的規範;理論的対象の実在性と科学的知識の客観性)
第2部 心の存在と哲学―心の哲学は自然化(科学化)しうるか(近代の心の哲学の原点―デカルトの心の哲学と心身問題;心の哲学の自然化の問題;心の存在の実在性と因果性;自由意志と他者の心)

著者等紹介

小林道夫[コバヤシミチオ]
1945年、旧朝鮮生まれ。京都大学文学部哲学科卒業。パリ・ソルボンヌ大学博士課程修了(Docteur de 3e cycle)。現在、京都大学大学院文学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かば

12
近現代の科学は、感覚経験に依拠するアリストテレスの自然学の体系を放棄し、数学を用いて自然現象における普遍的構造の把握を追求する営みである。また、その対象範囲は自然学よりも広範にわたるため、「科学」というジャンルにおいては「進歩」が純粋に認められる。一方で、身体と一体となって環境世界のなかでなされる「心の活動」は、前述の近現代の「科学」の範疇とは言えない。以上、要約。内容は興味深ったが、読点の使い方などに難があり読みづらい。2020/08/09

ヒダン

7
メモ:科学(=物理)理論の進歩はその理論の現実に対する近似の精度の向上により計られる。(通訳不可能性はないとする立場)アリストテレスの自然科学からニュートンとデカルトの科学への科学革命がまず興味深い。アリストテレスの自然学はこの本で初めて丁寧に学んだ。科学の射程と限界は1.物理的世界(我々の知覚する経験世界でない)の普遍的構造を解明する2.数学という言語を用いる3.誰でも実験と検証を再現できることのみを扱う。2014/02/21

izw

6
心の哲学は自然化(科学化)できないとして、デカルトの二元論、心身合一論を擁護する。そのために、近代科学が対象とするものは我々の認識や視点に依存しない実在的なものであり、化学理論の客観性は不変形式や不変量の確定で正当化されるので、心を対象とすることはできないと結論づける。デカルトの二元論と唯物論の論争についても、17世紀に行われた議論を紹介している。う~ん、最近の心の哲学を知りたいと思ったが、期待外れだった。2019/09/23

にゃん吉

4
デカルトの研究者である著者が、心と科学の問題について概説する一冊。科学とはいかなるものかというところから議論を始めて、脳科学等の当時の自然科学の先端の知見もふまえつつ、自然科学の範疇に解消、還元しきれない心(意識、精神)の存在、問題が指摘されています。デカルトの思想、哲学を軸に置いて、こういった議論ができるのかと、門外漢には、新鮮であったり、興味深くあったりする一冊でした。2021/10/06

Kenji Suzuya

2
第1部で科学史を振り返り、第2部でデカルトの「我思う、故に我あり」を手がかりに心の哲学について議論をする、という内容。第1部は手頃にまとまっていてよい。第2部に関しては、心の哲学を扱うというものの、リベットを除いては「哲学的ゾンビ」や神経科学の諸知見にもいっさい触れず、哲学方面の新しくない議論ばかりであった。正確にはデカルトの思想のみを扱ったというべきであろう。心脳問題を期待して読むに値する本ではない。2014/05/22

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