内容説明
唯一の戦争被爆国である日本。戦後、米国の「核の傘」の下にありながら、一貫して「軍事利用」には批判的だ。だが原子力発電を始めとする「平和利用」についてはイデオロギーと関わりなく広範な支持を得てきた。東日本大震災後もなお支持は強い。それはなぜか―。本書は、報道、世論、知識人、さらにはマンガ、映画などのポピュラー文化に注目、戦後日本人の核エネルギーへの嫌悪と歓迎に揺れる複雑な意識と、その軌跡を追う。
目次
第1章 被爆から「平和利用」へ―占領下~1950年代(原爆投下は「神の摂理」;原子力の夢―湯川秀樹のノーベル物理学賞受賞 ほか)
第2章 核の現実とディストピア世界―1960年代(恐怖―核実験から核戦争へ;圧倒的な核戦争のイメージ ほか)
第3章 原発の推進・定着と懐疑―1970年代(プロレスマンガとホラーマンガ;核拡散防止条約というジレンマ ほか)
第4章 消費される核と反核―1980年代(清水幾太郎の核武装論―被爆国という特権;「持ち込ませず」は守られているか ほか)
第5章 安定した対立構造へ―1990年代から3・11後(テレビのなかの核の危機;惨劇の記号化―繰り返されるイメージ ほか)
著者等紹介
山本昭宏[ヤマモトアキヒロ]
1984年奈良県生まれ。京都大学文学部卒。京都大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員を経て、現在、神戸市外国語大学専任講師。専攻は日本近現代文化史、歴史社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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