内容説明
近代合理主義の果てに行き着いた格差社会に、人々は生きる意味を見失いつつある。いまこそ、仏教が行き場のない心の不安に応える時ではないのか!?時代の苦悩に向かい合わず、だれも期待しなくなっていた日本仏教を改革すべく、活発な批評活動を行なってきた著者が、仏教が世界に果すべき役割についてチベット仏教の巨頭ダライ・ラマと激しく、かつ徹底的に論じ合った。悟りを得たにもかかわらず、自らの成仏より衆生の救済を目指した菩薩の果てしない「思いやり」=利他心こそ、仏教が世界を救う大きな力の源泉となるはずだ。すべての現代人のための仏教復興宣言の書。
目次
序章 ダラムサラへの道
第1章 仏教は役にたつのか
第2章 慈悲をもって怒れ
第3章 愛と執着
第4章 目覚めよ日本仏教!
対談を終えて
著者等紹介
上田紀行[ウエダノリユキ]
1958年東京都生まれ。東京大学大学院文化人類学専攻博士課程修了。東京工業大学大学院准教授(社会理工学研究科価値システム専攻)。80年代のスリランカでの「悪魔祓い」のフィールドワークの後、「癒し」の観点をいち早く提示する。05年には米スタンフォード大学仏教学研究所客員研究員として、「仏教は今日的問いにいかに答え得るか」(全20回)を講義する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
takeapple
16
上田紀行先生とダライ・ラマ法王猊下の対談本。今まで読んだ仏教関係の本の中で最高の感動を与えてくれる。法王の仏教国の状況認識や世界史の理解の深さに圧倒されるし、チベットの状況を非暴力で仏教的に変えていきたいという思いが強く感じられた。特に怒りは正しいものなら持ち続けるべきだという法王のお言葉は大変重く、自分もできることをして世の中を少しでも良くしていきたい。2018/08/28
こやじ
1
とにかく熱量がすごい。圧倒されました。この場に居合わせたらさぞかし興奮しただろうな。2022/10/07
麦茶
1
ダライ・ラマとの対談者であり、著者でもある上田紀行氏の現代社会が抱える問題に対する鋭い洞察力に感心した。すべての日本の僧侶に読んで欲しいほど素晴らしい議論だった。2018/03/30
Shinke Taeko
1
★★★☆☆2017/04/09
curecarecore
1
お互いが地位や権威を脱ぎ捨て、腹を割って語り合います。絶妙に響き合うメッセージ。「爆笑」シーンが対談の真骨頂。まれにみるクロスカルチュラルトークを堪能できました。2016/10/30