出版社内容情報
言いたかった ありがとう。言えなかった ごめんなさい。伝えられなかった大切な人ヘの想い。あなたに代わって、お届けします。100万部のベストセラー『食堂かたつむり』の著者が描く、鎌倉を舞台にした代書屋の物語。
内容説明
ラブレター、絶縁状、天国からの手紙…。鎌倉で代書屋を営む鳩子の元には、今日も風変わりな依頼が舞い込む。伝えられなかった大切な人への想い。あなたに代わって、お届けします。
著者等紹介
小川糸[オガワイト]
作家。デビュー作『食堂かたつむり』が、大ベストセラーとなる。同書は、2011年にイタリアのバンカレッラ賞、2013年にフランスのウジェニー・ブラジエ小説賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
1536
小川糸は新作中心に読んでいる作家です。今は珍しい代書屋さんの単なるお話かと思いましたが、色んな読み方(鎌倉ガイド、グルメ本、手紙のマニュアル等)が出来る素敵な作品です。手紙が作中でこんなにリアルに取り上げらる小説は初めてです。今年のBEST20候補にエントリーしました。私も汚文字(おもじ)なので、近くにこんなに素晴らしい代書屋さんが存在していたら、是非依頼したいと思います。ぽっぽちゃんから拘りの恋文を貰えたら最高だろうなぁ!2016/05/20
ウッディ
1431
鎌倉の地で、祖母から引き継いだ代書屋「ツバキ文具店」。絶縁状、天国からの手紙そしてラブレター、それぞれの事情で手紙を書けない依頼人に代わって代書を引き受ける鳩子の四季の物語。日本の季節を愛で、隣人との心を通わせ、代書依頼人の気持ちになって便箋や筆記具を選ぶ、そんな風に丁寧に生きることの大切さを教えてくれた一冊。鎌倉という地のレトロ感、美味しそうな食べ物なども魅力的で、鳩子の周りでは時間がゆっくり流れているように感じました。こんな風に暮らしてみたいと思える素敵な物語でした。とっても面白かったです。 2018/05/12
zero1
1361
手紙は人の想いを伝え、後に残る。現代人は文字を書く機会が少ない。メールが当たり前で手紙はほとんど書かない。鎌倉で文具店の副業として代書屋を営む鳩子。お悔やみや離婚のお知らせ、借金を断り、老女を救う手紙、そして絶縁状を請け負う。怒って依頼を断る場面やポストに入れた手紙の回収も。手紙とその依頼主にはドラマが。バーバラ夫人や男爵など脇役もこの作家らしい。終盤には【自分の字】で先代への手紙も。手書きの手紙掲載は斬新だし鳩子が使う文具も多彩(後述)。あなたは手紙を書いている?読んで損なしの一冊。17年本屋大賞4位。2020/02/27
mura_海竜
1136
読み友さんから借りました、素晴らしい本でした。ありがとうございます。代筆屋さんツバキ文具店。小川さんの本も久しぶりでした。人の代わりになって筆をしたためる。時にはやさしく、お断りの手紙にはきっぱりと。依頼された表現をするために道具にもこだわる。そのレベルが半端じゃない。書くものと書かれるもの、そしてインクとその色の選定、磨り生み出される墨、その人のことを考え考え、生み出す文章。お隣のバーバラ婦人、男爵、パンティー、QPちゃんなど登場人物も個性的。実際の書も掲載、ひらがなが特に美しい。巻頭に鎌倉案内図。2016/11/13
まちゃ
965
小川糸さん初読みでした。古都鎌倉の四季とそこでの暮らしが魅力的な良作です。先代の祖母からツバキ文具店と代書屋家業を引継いだ雨宮鳩子(ポッポちゃん)。代書屋を訪れる人々、先代とポッポちゃんの過去から想いを伝えることの難しさと大切さを考えさせられ、最後の先代への手紙にグッとさせられました。楽しめました。2017/01/08