ちくま新書
煩悩の文法―体験を語りたがる人びとの欲望が日本語の文法システムをゆさぶる話

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 200p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480064387
  • NDC分類 815
  • Cコード C0281

出版社内容情報

人は自分の体験を面白おかしく語りたがる。「語りたい」煩悩は、知識の文法を超える。お行儀のいい文法がいきいきと動き出す不思議な瞬間を一緒に体験してください。

内容説明

「文法的に問題だ」というのは、なにが問題なのだろうか。私たちは日常それほど理知的にことばを扱っているわけではない。立派そうな文法が、私たちの合理的でないおしゃべりから出来上がっていることは案外多い。本書では、そんな例として「体験の文法」を取り上げる。人は誰しも、体験を語りたがるという煩悩を抱えている。体験の文法は、ときに知識の文法をやすやすと超える。体験が「状態」をあざやかに「デキゴト」化する不思議なデキゴトを体験してください。

目次

第1章 知識の文法と体験の文法
第2章 ワクワク型の体験(ワクワク型の体験とは?;「で」;頻度語;「ばかり」;「たら」;「た」)
第3章 ヒリヒリ型の体験(ヒリヒリ型の体験とは?;頻度語;「ばかり」;「たら」;「た」)
第4章 環境とのインタラクション

著者等紹介

定延利之[サダノブトシユキ]
1962年大阪生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、神戸大学大学院国際文化学研究科教授。文学博士。専門は言語学、コミュニケーション論。これまで軽視・無視されがちであった「周辺的」な言語現象の考察を通じて言語研究の前提に再検討を加えている。とくに、人と環境、人と人とのインタラクションが、言葉とどう関わっているか、体験と知識、探索と体感などをテーマとしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

南北

33
読友さん本。従来の国文法を「知識の文法」とするなら、著者は「体験の文法」の国文法を提唱している。ワクワク型やヒリヒリ型などの分類を通じて、日本語の表現がどう変化しているかを見るのは興味深く感じた。本書で書かれた表現の事例は決して多いとは言えないので、著者も含めて他の研究者たちにも一瞬の状態でも体験として語られると異なってくる表現の事例を研究してほしい。2022/02/15

ふうふう

4
★★★☆☆おもしろい。日本語文法の本当に基礎的な部分(場所を表す助詞「に」「で」や、条件説「たら」等)の、気づかなかった視点からの解説。読んでるときは、すげーと思って読むが、私がポンコツなので読んだそばから理解した内容を忘れていく。2023/08/13

shouyi.

4
「ゆる言語学ラジオ」(Podcast)で知った定延利之先生の本。学校文法では学べない点を詳しく分かりやすく教えてくれる。文法がおもしろいと言うと変人扱いされるけど、おもしろいものはおもしろいのだ。2022/02/13

Masakazu Kawamoto

3
会話が文法を動かす、そういう例はたくさんあるけれど、ここで示されているのはより根本的な事柄である。「体感性」をめぐるところなど特定の語の多義性ではとても片付けられないところまでいっている。「文法システムを揺さぶる」で済む話なのか、この方向性でどこまで文法に切り込めるのか、ちょっと考えてしまった。今後の発展に「ワクワク」である。一方一歩間違えると議論がトートロジーになってしまう危険もありそうだ。 「赤い」と「真っ赤だ」の体感度による違い、頻度語の比喩適用法の可否など、用例がどれも楽しい^^2014/07/10

Teo

2
体験の文法と言った方が入りやすいかもしれない。日本語は体験が伴う時に平時とは異なる文法体系をとると言う点が述べられる。面白い視点。2008/08/13

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/497805
  • ご注意事項

最近チェックした商品