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ちくま新書
世間さまが許さない!―「日本的モラリズム」対「自由と民主主義」

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  • サイズ 新書判/ページ数 238p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480064776
  • NDC分類 361.42
  • Cコード C0212

内容説明

ヨーロッパ人がその文化をもとに作った「自由と民主主義」は、日本人には向かない仕組みなのではないだろうか?―内心の多様性を前提として人々の行動を「ルール」でコントロールする「自由と民主主義」と、みんなが同じ「モラル」を共有していることを前提とする「日本的モラリズム」(世間さま主義)の間には致命的な矛盾がある。このミスマッチがもたらした社会的混乱の事例を豊富に挙げながら、民主制に代わる「世間さま制」(日本的コモンロー)の可能性をも思考実験する。

目次

第1章 本当に日本人が「ダメ」なのか?―「向かないことは無理にやらない」という選択肢もある(レストランで「みんなと同じ物」を注文して何が悪い?;本当に「文化を変える」必要があるのか?;日本人は「自由と民主主義」に向かないのではないか?)
第2章 何でもモラルで考える「日本的モラリズム」という文化―「同じモラル」を共有する同質の「世間さま」という信仰(「同じモラルの共有」を信仰してすがろうとする日本人;「システムの問題」を「モラルの問題」として考える日本人;国際関係も「日本の世間様のモラル」で考える日本人)
第3章 「日本的モラリズム」がもたらす「自由と民主主義」の機能不全―「超ルール的正義」=「モラル」による「自由」と「ルール」の無視(日本人は「自由」に向いていない;日本人は「民主主義」に向いていない)
第4章 「自由と民主主義」がもたらす「日本的モラリズム」の機能不全―「世間さま」の同質性破壊による「共通モラル」の崩壊(「神さま」は崩さないが「世間さま」を崩す自由と民主主義;「日本的モラリズム」の機能不全がもたらした混乱)
第5章 「世間さま制」にしたら?―「日本的コモンロー」のシステムという思考実験(「憲法」は廃止して「世間さまのモラル基準」で行く;「世間さまのモラル基準」に「法的拘束力」を持たせる;アメリカが「日本化」する日)

著者等紹介

岡本薫[オカモトカオル]
1955年生まれ。東京大学理学部卒。OECD科学技術政策課研究員、文化庁課長、OECD教育研究革新センター研究員、文科省課長などを経て、2006年1月から政策研究大学院大学教授。専門であるコロロジー(地域地理学)の視点から日本人のマネジメントの欠陥・改善策について研究・提言に取組む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しゅんぺい(笑)

6
かなり精密に分析、議論が練られていて、いい本やと思う。 実際、著者が提起している問題はかなり当てはまっているように感じます。 日本人はルールとモラルを混同している。めっちゃ共感できる。ルールを守らせればいいだけの問題に対して、「心の問題」などの内面を持ち出すとことか。 著者があとがきで書いているように、自称「アナリティカル・シニシスト」というのも頷ける。冷静な分析力。 ただ、同じことを繰り返している部分が本書には多々あるので、そこが少し気になった。2012/08/14

shigoro

6
日本は確かに“世間様”が闊歩してるな。法よりも上の存在の「超ルール的正義」の「ケシカランッ!!」は確かに見かける。多様性・個性化のせいでモラルはバラバラになっているにも関わらず、どこに向かって「心を1つにしていきましょ」と言ってるのか…。ちなみに『世間さま院』の話はブラックジョークの映画が1本作れそうなネタだな(笑) 2011/05/25

ミヒャエル・安吾

4
世間なんて滅べ。世間が個人を守ってくれたのは今や昔。それなのに口だけだして手は貸さない、面倒なだけの存在に成り果てた世間なんて滅べ。2017/03/18

かみかみ

4
評価:★★★★ 「世間さまが許さない」という言い回しに代表される日本人の道徳観について指摘。身内のモラルを重視するあまり、法律などルールを無視する傾向や、「多様化の強制」、「反権力」を謳いながら権力に依存する人々、成人の犯罪で親や知人が謝罪する光景を批判する文章は読んでいて胸が透いた。2014/01/10

ぽん教授(非実在系)

2
世間・空気の暴走は阿部/山本などが既に論じているが、この本はあくまで一種の理念型として世間と西欧ルールを対比しておりだいぶわかりやすくなっている。思考実験として「むしろ世間さまを明確化して完全に統制してしまえばいいのではないか?」という大胆すぎる論を展開しており、他の世間/空気論にない面白さがある。勿論世間が正解とは限らないことも多いので全て採用することは難しいのだが、議論の土台としては十分であろうと思う。2016/04/10

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