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ちくま新書
生物から生命へ―共進化で読みとく

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  • サイズ 新書判/ページ数 206p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480066572
  • NDC分類 007.1
  • Cコード C0240

出版社内容情報

「生物」=「生命」なのではない。共進化という考え方、人工生命というアプローチを駆使して、環境とのかかわりから文化の意味までを解き明かす、一味違う生命論。

内容説明

生命とは何だろう?目の前にいる「モノとしての生物」を眺めているだけでは、この答えは見えてこない。生命は「プロセス」「コト」として考えるべき問題なのだ。本書では、「共通化」という考え方、「人工生命」というアプローチを駆使して、環境とのかかわり、種や個体間での協力関係、言語の獲得、さらには文化やアートなどが持つ意味と役割などを解き明かす。世界ががらりと変わって見える生命論。

目次

序章 共進化と人工生命
第1章 共進化プロセスの論理
第2章 病原菌とヒトは共進化する
第3章 協力行動とネットワークは共進化する
第4章 人工生命研究の到達点
第5章 環境と生命のフィードバック
第6章 文化と生命は共進化する
第7章 言語と生命は共進化する
第8章 コト的生命観による越境

著者等紹介

有田隆也[アリタタカヤ]
1960年東京都生まれ。東京大学大学院工学系研究科計数工学修了(工学博士)。カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員研究員、名古屋大学情報文化学部助教授を経て、同大学大学院情報科学研究科教授(情報文化学部兼務)。専門は人工生命、複雑系科学。とくに心の起源や進化ダイナミクスに興味をもつ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

寝落ち6段

14
いろいろな物質が集まって生命体の体は築かれている。でも、我々は生物と無生物の区別をつけることができる。同じ物質の塊なのに。生物を生物たらしめるものは何なのだろうか。生物は、ただ生きているだけではなく、進化し続けるものだという。環境は日々変わっていくのに、進化できなければ淘汰されてしまう。人間の場合は、淘汰される心配は少ないが、新たなものを次々と生み出すという進化を遂げている。ひっくるめて、我々人間は何のために生きているのか、もしかしたら、新しい価値の創造にあるのかもしれない。2023/04/16

氷柱

9
398作目。4月6日から。複雑な思考実験を読み解くのはかなりしんどいが本質的には非常に興味深い論が展開されている。進化とは何かということを様々な例を通じて説いている一作。生命が種として辿る道やその複雑さはすぐには理解できない。なぜならばその道は我々が現在進行形で歩んでいる道だからだ。振り子のようにやがてはある1点を目がけて収束していくのだろうが、その点は我々にはわからない。迷いの森に解き放たれたような気分になる。2018/04/11

壱萬弐仟縁

8
学部時代に生命科学という科目を履修した。共進化がキーワードに思える。互いを活かし合う進化の姿。逆は足の引っ張り合い。元素の化学モデルのような協力行動とネットワークの図は興味深い(091頁)。社会の人間関係にも似たような感じになるのだろうか? 離合集散というのは利害関係ではありがちなことである。本著の文化の定義は、「社会学習で伝達される情報」(140頁)である。生命と文化の相関。いのちを支え合う社会、文化を尊重し合う社会が理想だが、実際は足を引っ張り、利害衝突、他人への配慮の欠如等、社会問題が山積している。2013/03/18

皆穂

3
著者の研究報告の趣がある。科学の枠組みで生命を物質の集まりではなく、生涯とそれが連続する進化の出来事として捉え、解明していく試みを説明している。共進化は社会や数学あらゆるものに言える相対と同じで、生物の発展に限ったものではないように思う。また、著者の理論はまだ発展途上で多岐亡羊に感じる。膨大な生命集団の連続が進化を形成する事はひとつの前提とした上で、その中の一瞬を生きる'自分'を掘り下げることの方が、現代社会に紛れた自分を探すために重要ではないか。2013/10/16

Mealla0v0

1
共進化coevolutionという観点から、個体としての「生物」から〈生きている事態〉という集合現象としての「生命」へと、生命を描き出す。この共進化のおもしろさは、種と種だけでなく、同一種の形質的差異や社会的・文化的環境が淘汰圧として機能し、ある一定の進化を促すとしたところにある。さらにおもしろいのは、この環境は自己創出可能だということ。乱雑さの収斂が環境をつくり、進化を促すのだ。▼進化医学の病原体理解や複雑ネットワーク研究の生命システム論など、実に興味深い。2017/02/20

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