出版社内容情報
地理情報は権力者が独占してきた。地図によって世界観が培われ、その精度が戦争の勝敗を分ける。歴史の転換点を地図に探り、血塗られたエピソードを発掘する!
内容説明
日常に欠かせない便利な「地図」と、軍事との密接な関係、血塗られた歴史を想像するのは難しい。だが、地図情報は誕生以来つねに国家権力が独占し、戦争と不可分のものだった。地図が戦争の勝敗をわけるし、その作成のためには密かに敵国に潜入、秘密測量するなど、まさに命懸けの作業が必要である。じっさい、大戦時の日米両軍の地図は精度に天地の差があったし、これまで幾人もの測量員が殉職している。地図には、国のありようが、はっきりと現れるのだ。日本史の転換点を地図にさぐり、歴史に埋もれた残酷なエピソードを発掘する!
目次
第1章 地図と世界観
第2章 軍事と地図情報
第3章 外邦図と日清戦争
第4章 日露戦争と測量
第5章 シベリア出兵と大正期の地図
第6章 地図と情報戦
第7章 「大東亜戦争」と地図
第8章 自衛隊の地図
著者等紹介
竹内正浩[タケウチマサヒロ]
1963年愛知県生まれ。北海道大学卒業後、JTBにて旅行雑誌などの編集に携わり、現在は、おもに地図、歴史、鉄道、旅などをテーマにしたフリーライターとして活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロッキーのパパ
14
地図を軸に幕末から第二次世界大戦までを解説する視点が面白かった。確かに、地図って情報が満載だから戦争では重要なのに、見落としていた。 地図作成に伴う犠牲者の多さに驚かされた。昭和期に入ってもかなり苦労がある作業だったんだ。装備や支援が整っていない時代に日本地図を作成した伊能忠敬の業績の凄さを再認識した。2013/12/13
nizi
4
日本国内でどのように地図が認識され、作られ、活用されていったかの話。お馴染み伊能忠敬の文量は少なく、明治以降がメイン。測量技術を日本で学んだ中国人が多かったため、大陸の日本軍は鹵獲した地図を活用しやすかった等の興味深い記述があった。2024/05/03
ヒロタカ。
4
図書館で見つけて気になって読んでみた。日本の地図の歴史と戦争をテーマにしているの内容だった。地図が軍事目的で使われることを考えたことがなかったが、地図は戦争する時に必須なんだと思った。測量する人が変装しながら作業しているのは面白い。
Great Eagle
3
考えてみれば地図は楽しいが、戦争には不可欠なもの。そして江戸時代から外国船の襲来に始まり、地図を整備してきたのだとよく理解した。明治期には驚くほどの迅速さで、朝鮮や中国の地図を整備していったことは、初めて知った。恐れ多いことだ。2013/11/13
えひめみかん
2
終戦日に近かったので。今では当たり前に使っている地図って思った以上に最近まで軍事機密だったのね。2018/08/15