出版社内容情報
ビストロ・パ・マルへようこそ。絶品料理の数々と極上のミステリをどうぞ! 客たちの巻き込まれた不思議な事件や不可解な出来事。その謎を解くのは、シェフ三舟。傑作連作短編集。
内容説明
商店街の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マル。シェフ三舟の料理は、気取らない、本当のフランス料理が好きな客の心と舌をつかむものばかり。そんな彼が、客たちの巻き込まれた事件や不可解な出来事の謎をあざやかに解く。常連の西田さんが体調を崩したわけは?フランス人の恋人はなぜ最低のカスレをつくったのか?絶品料理の数々と極上のミステリ。
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
1969年大阪市生まれ。大阪芸術大学文藝科卒業。1993年、『凍える島』で第4回鮎川哲也賞を受賞してデビュー。2008年に『サクリファイス』で第10回大藪春彦賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
1111
殺人や誘拐がなくてもミステリーは成り立つ。小説とは「小さなこと」を説くこと。仏料理店「パ・マル」が舞台の日常ミステリー。謎を解くのは変わり者の三舟シェフ。気軽に読めるが、客や料理人にはそれぞれドラマが。引き出しの多い近藤は過剰な説明を省く。物足りないから次も読める。客が体調を崩したのは何故か?偏食の客にスーシェフ志村の昔話。脇田の妻が出て行った理由は?高校野球の合宿で起きた飲酒事件の謎。エッセイストにまつわる話とショコラティエの割り切れない話は奥が深い。続編あり。ヴァン・ショー飲みたい!2019/04/12
ウッディ
957
下町にある小さなフレンチレストン「ビストロ・パ・マル」。気取らない雰囲気で、侍のような風貌の三舟シェフの料理を求めて集まってくる人たちが持ち込む不可解な出来事を解決するミステリー。一つ一つが短く、読みやすい短編ながら、スーシェフの志村さん、ソムリエの金子さん、そしてギャルソンの僕など、登場人物のキャラも立っていて、美味しそうな料理だけでなく、謎解きの手際も見事で、特に「割り切れないチョコレート」では、ウルっとさせるあたり、愛情をこめた丁寧な仕事を感じさせる料理という感じで、とってもおいしゅうございました。2020/05/12
seacalf
842
『きのう何食べた?』もかなりクオリティ高く仕上がっていたけれど、同じくドラマ化された今作もくだけた雰囲気で非常に面白い。登場人物のビジュアルこそ違えど再現率が高いドラマを先に観ているので安心して読める。ドラマは観ていなくても堅苦しくないフランスの郷土料理とちょっとしたミステリーで気軽に読める作品になっている。どの短編も面白いが、素直じゃない性格の人間が好きなので、割り切れないチョコレートの話がほろっときて1番好きだった。読めばカジュアルなフレンチに行きたくなること請け合い。ヴァンショー、家でも作ろうかな。2021/08/19
yoshida
815
小さなフレンチレストラン「ビストロ・パ・マル」を舞台とした、お洒落で小粋な謎解き。普段は無口なシェフ三舟が、料理と謎解きに腕を振るう。短編7編、どれも水準以上の面白さです。三舟シェフと同じく腕を振るう志村さん、ソムリエの金子さん、ギャルソンの高築くんの四人でお店を廻す。謎解きといい、料理といい、心がこもっていて暖かだ。読後感も暖かい。安心して人に薦められる短編集です。近藤さんのフランス料理の知識に感嘆する。近藤さんの作品はこれまで「サクリファイス」のシリーズを中心に読んでいた。これを機会に他作も読みます。2017/01/27
へくとぱすかる
789
片意地張らずに味わえる小さなレストラン。シェフの三舟さんが、これまた江戸っ子的人物で、爽やかな謎解きをしてくれるんだな。日常的舞台であるだけに、そこに謎を考えるのは作者も大変だとは思いますが、厨房から見える世界はとても広い。まるで解決してもらうために、謎がお客さんになって集まってくるような世界。三舟シェフの豪快なフランス家庭料理を味わってみたいものです。2017/01/10