内容説明
忌み山で人目を避けるように暮らしていた一家が忽然と消えた。「しろじぞうさま、のーぼる」一人目の犠牲者が出た。「くろじぞうさま、さーぐる」二人目の犠牲者―。村に残る「六地蔵様」の見立て殺人なのか、ならばどうして…「あかじぞうさま、こーもる」そして…。六地蔵様にまつわる奇妙な童唄、消失と惨劇の忌み山。そこで刀城言耶が「見た」ものとは…。『首無の如き祟るもの』に続く渾身の書き下ろし長編。
著者等紹介
三津田信三[ミツダシンゾウ]
2001年に『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーでありながらもミステリ的な仕掛けにもこだわりをみせた独特のストーリーテリングで注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
98
最新刊を読み終えてから読書メーターを開くと「シリーズで一番、怖かったのは・・・」という感想が多かった。私の場合はシリーズでこの本が一番、怖い。理由は三つ、ある。一つは単行本の表紙絵の怖さである。怪異があからさまに描かれた文庫版より、想像力が掻き立てられるこちらの方が怖い。二つ目はシリーズ内で刀城言哉が唯一、化現している怪異を他者と一緒に視認してしまったという事である。この場面は最凶過ぎるラストと合わせて「アカン、これ・・・」と呻いてしまう。最後は現実に起こり得るからこそ、恐れている真相なのが一番、恐ろしい2018/08/26
えみ
53
こちら側とあちら側の境界線上の妖しさを描きだしたホラーミステリ。その狂気、果たして人間のものか、それ以外のものか…。忌み山に木霊する嗤い声。狂乱誘う童唄になぞらえた連続殺人事件。次は誰?二転三転する犯人像、これだと思って掴んだ真相はするすると手のひらから零れていく。次呼ばれるのは誰?著者・三津田信三のその才筆を改めて実感する刀城言耶シリーズ。本当に恐ろしいソレは、己がソウイウモノだときっと知っている。言葉で説明できる現象も頭で理解しながら、そうじゃない、と事件に纏う怪しさが言葉以上の何かを伝えてくる一冊。2022/08/20
ゆみねこ
20
昭和30年代初頭と思われる、奥多摩の更に奥にあったといわれる神戸(ごうど)地区で、凄惨な連続殺人が起こる。忌み山で出会った山魔(やまんま)が人を殺すのか?うーーん、謎ときは中々面白いけれど、やっと読み終えたというのが正直なところ。表紙の女性の顔が一番怖いかも?2012/09/25
りこ
15
久々に再読。やっぱり見立て殺人は横溝正史の悪魔の手鞠唄を連想させるが、殺人シーンの陰惨さはこっちが上な気がします。しかし早く刀城シリーズの新作が早く読みたいなぁ。2015/06/18
てんぱい
15
2009年このミス8位。自分が犯人と思っていた人物が物語の終盤で犯人扱いされると『ああ、この人は犯人ではなかったのか』と思いたくなるくらい最後まで読まないと全ての謎は解けない。で、読み終えての疑問が。。。この表紙は誰?2012/08/29