内容説明
『知性改善論』『デカルトの哲学原理』から『エチカ』冒頭部までを徹底的に精読。スピノザの思考の筋道を内在的に押し広げ、その方法と問題意識を解き明かす。気鋭の哲学者が放つ類書なき論考。
目次
方法という問題
第1章 ふたつの逆説(方法の三つの形象)
第2部 逆説の起源(スピノザのデカルト読解)
第3部 逆説の解決(スピノザの観念思想;スピノザの方法)
結論 スピノザの方法からスピノザの教育へ
著者等紹介
國分功一郎[コクブンコウイチロウ]
1974年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。高崎経済大学経済学部講師。哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
59
『知性改善論』から『デカルトの哲学原理』、さらに『エチカ』とスピノザの著作から彼の「方法」の変化を丹念に探り論じていく。近代哲学科学の源泉であるデカルトを乗り越えようとしたスピノザの独特の思考を解説していく。「エチカ」を書くまでのこの哲学者の前提などがわかりやすい。「真理」についての論考に少し驚く。この本はこの若手哲学研究者の博士論文だそうだ。一般向けにしてはちょっと地味であるが、くどいほど丹念さと厳密な論じ方を求められる博士論文のレベルは素人でもわかるほどだ。本の定価も知ってなるほどと。2017/05/02
しゅん
22
「方法」という言葉がスピノザ、あるいは西洋哲学にとって何を意味するのか。本書はその答えがデカルトの乗り越えによって得られ、やがて『エチカ』に結実するというストーリーを描く。興味深いのはデカルトは他者を説得しなければいけないと考えていたのに対し、スピノザは他者を説得する必要はない、というかそれは不可能であると考えていたという点だ。細かい論理に関しては捉えられていないが、スピノザ哲学のイメージだけはつかむことはできた。國分さんはやはり物語構成に長けた人だな。2018/02/18
またの名
16
「こうやればOK!」とマニュアル式に伝えられる方法では幾らかの事態には対応できても、真に精神を導けないという逆説。最高完全者の観念にアクセスできれば、後はその規範に従って精神がアルゴリズム的に自動で叡智と一体化すると『知性改善論』で述べたスピノザの逆説に対する解決策への歩みを、圧倒的な読解力によって再現。精神が観念を連結させるがその観念の連結が精神を指導する反省的認識に達したとき、事物の配列・秩序と、その配列・秩序を完全にそのまま反映した最高の観念から発する運動と、精神とが一体化する状態が発生するという。2018/08/26
イボンヌ
13
『エチカ』を読むための助けになればと読んでみました。 これ以上深入りは無理なので、他の本を読みます。2017/06/27
元よしだ
9
『知性改善論』のみではまったく理解できなくこの本で知性改善論部分よみました すごくわかりやすいです なるほどまず【30】~【35】から。。2021/05/30