内容説明
タネから胃袋まで日本の食文化の“深層”に迫った名著。
目次
1 米の料理
2 麦の料理
3 雑穀の料理
4 穀物料理の一般法則
5 豆の料理
6 肉と魚の料理
7 乳の加工
8 果物と蔬菜
著者等紹介
中尾佐助[ナカオサスケ]
1916年愛知県に生まれる。1941年京都帝国大学農学部卒業。大阪府立大学教授、鹿児島大学教授を歴任。1993年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小鈴
19
何かの育児本だったろうか。乳についてこの本を参考文献にあげていたので気になっていた。「乳の加工」の章は「赤ちゃんは牛乳を飲むが」大人は下痢をするという話でぐっとひきつけ、牛乳を飲む文化圏とそうではない文化圏があり、様々な地域を比較して乳利用は鉄利用よりも新しい文化とまとめる。ちなみに、人間は赤ちゃんの時は乳糖分解酵素の分泌能力が高く母乳でも牛乳でも乳糖を分解して吸収。母乳がでなくても牛やヤギの乳でも赤ちゃんは育つ、赤ちゃんの生存戦略。二歳くらいでこの分泌能力が落ちて下痢するようになる。色々納得(笑)2019/05/22
Humbaba
7
人は行きている以上は食事が必要である.そして,手に入る食材の種類というのはそれほど多くあるわけではない.しかし,それをどのように料理していくかということについては地域によって少しずつ異なっている.2013/03/27
ちや
5
食事の起源や各地の食べ方、調理方法などが書かれていて面白かった。2023/08/03
Akihiro Nishio
3
素晴らしい本だった。米や麦、大豆などの古代の調理法を世界規模で広がり方まで言及するというスケールの大きな本である。特に目を引くの乳製品についての章。よくもこんなに複雑な工程を編み出し、乳を余すことなく用いたものだと関心した。単なる農学者に留まらず、いろんなところにいって、何でも味わってみる好奇心が良く伝わってきた。研究書としても超一流で、これが昭和47年に書かれたとは驚くしかない。2013/02/19
でろり~ん
2
興味をそそられ、感心することしきりな本でした。集めた資料の豊富さもさることながら、著者自身が歩いた地域の広範さは驚異的。地球全体の食を語るに足るエネルギーですね。今どき、こんなに元気な研究者っているんでしょうか。食文化は今でも各地で変化しつつあるんでしょうけれど、その発生に思いを致すことの幽玄さが楽しいものでした。人は、何人であっても、その飲食したもので出来あがっているわけで、時代時代の共通性や離反性。照葉樹林文化論も充分、アリ、な気がしましたです。タネから胃袋まで。あっぱれ、見上げた態度ですねえ。2019/03/07