内容説明
ヨーロッパ諸国のなかで、唯一鎖国下の日本と交易を許されたオランダ。貿易で黄金時代を築いたオランダ人がヨーロッパに伝えた「日本情報」とはどのようなものだったのか?―リンスホーテン『東方案内記』をはじめとする旅行記や、東インド会社関係文書など、これまで明らかにならなかったオランダ人による日本記述をつぶさに紹介。彼らの日本観の形成とその変遷について、京都・日文研気鋭の研究者が解き明かす。
目次
第1章 オランダの黄金時代と日本交易の独占
第2章 洋上で出会った日本―初期の旅行記にみる日本情報の萌芽
第3章 東インド会社を経由した日本情報―商務員たちの日記
第4章 日本文化の深奥へ―オランダ商館長カロンの『日本大王国志』
第5章 「日本誌」の誕生―職業作家モンターヌスの『東インド会社遣日使節紀行』
第6章 写実的に描かれる日本―冒険家ストライス・外科医スハウテンの旅行記
著者等紹介
クレインス,フレデリック[クレインス,フレデリック][Cryns,Frederik]
1970年ベルギー生まれ。1993年ルーヴァン・カトリック大学(ベルギー)文学部日本学科licentiaat課程修了。2003年人間・環境学博士(京都大学)。現在、国際日本文化研究センター研究部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Wataru Hoshii
1
以前に屏風の番組を作ったとき、16世紀から17世紀にかけて西洋人によって書かれた、日本についての文献や史料を読みまくった。イエズス会の報告はやっぱり面白いが、オランダ人たちの旅行記も悪くない。この本にも出てくるモンターヌスの著作は、本書の表紙にもなっているトンデモな挿絵が豊富で素晴らしい。理解と誤解が入り交じった、当時の西洋人のフィルターを通して江戸時代初期の日本を眺めると、なんだかいまの日本人にとっても非常にエキゾチックで不思議な国が立ち現れてくる。こうした史料の面白さを伝えてくれる本。2013/04/13