内容説明
『カラスの教科書』で一躍人気者になった松原先生は、動物行動学者。研究対象のカラスをはじめ、鳥、ムシ、けもの、微生物。頭上も足元もあらゆる生き物で賑わうこの世界は、先生にとって楽しみに溢れた宝庫です。ときにカラスと会話しながら研究に勤しむかたわら、カラスのヒナを世話し、炎天下の川原でチドリの巣を探し、ときに大蛇を捕まえ、猫王様の機嫌を伺い、夕食を釣りに行く―すべての生き物への親しみをこめてユーモアいっぱいに語る、自然科学の身近なおはなし。
目次
第1章 やっぱりカラスが好き(上を向いて歩こう;子ガラスが来た ほか)
第2章 鳥屋のお仕事(五感を駆使せよ、使えるなら第六感も;薮の中で一仕事 ほか)
第3章 カラス屋の日常(ピーちゃんの観察日記;日だまりの膝枕 ほか)
第4章 じつはこんなものも好き(鳥屋とヘビは鳥の巣を目指す;ときにはおっかなびっくりで相手をする ほか)
第5章 カラス屋の週末(老人とサギ;猫王様との邂逅 ほか)
著者等紹介
松原始[マツバラハジメ]
1969年、奈良県生まれ。京都大学理学部卒業。同大学院理学研究科博士課程修了。京都大学理学博士。専門は動物行動学。東京大学総合研究博物館勤務。研究テーマはカラスの生態、行動と進化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
128
この方の「カラスの教科書」を読んで印象に残っていたのでさらにこの本を読んでみました。やはりカラスの行動学についてはかなり面白く感じました。昔に比べると、五味の収集方法などで最近はあまり見かけなくなっています。ついには食べるものに困ってきているせいか、私の庭のせみを捕まえるべく降り立ってじっと待っています。この本ではからすばかりではなくほかの動物についての行動学など楽しめました。2018/08/01
小梅
105
松原始さん、学生時代に色々な生き物の観察するバイトしてたのね。カラスは勿論だけど、蜘蛛や蛇や幽霊の話しが面白かった。 今度、天かすを地面に落として蟻の観察をしてみよう(๑˃̵ᴗ˂̵)2017/06/11
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
103
「カラスの教科書」の著者によるエッセイ。自らカラス屋を自認する松原さんだけど、カラス以外の話もたくさん。オオヨシキリの営巣調査でヨシ原の藪漕ぎをする話や、屋久島の野猿調査で遭難しかけた話などなど。一緒に営巣調査に出かけたエキスパートの「わしがシロチドリやったら、この辺に作るんやけどなぁ〜。ほらあった。」なんていう話は鳥屋の端くれとしては思わずにんまり。でもやっぱりカラスの話が面白い。この人はカラス屋だ。探鳥会でカラスしか出なくても楽しめそうだ。★★★★2017/06/07
へくとぱすかる
77
ユーモアいっぱい、とカバーに書いてあるが、わははと笑える! 143~145ページの議論が特におすすめ。カラスの鳴きまねのコツまで教えてくれる生物学の本は、おそらく他にあるまい。文章にしっかりオチまでつけてくれるのだから、大学の先生も、硬軟両道での達人の領域だ。人間も生物なので、動物たちの生活と、すぐにつながっていることを納得させてくれる。フィールドが糺ノ森であったり、鴨川であったりすることもあって、ますます身近で地続きな話題として読む。身近すぎて研究されない分野もあるので、まだまだ発掘の余地があるのでは?2023/06/08
yukision
71
『カラスの教科書』の松原先生の眼から見たら、なんでもない日常の風景が生き物に満ちた不思議がいっぱいの世界に変わる。途中から鳥類どころか心霊体験やヘビとの触れ合いまで出てきてぞわっとしたが、松原先生の楽しい語り口で、苦手なヘビの話まで興味が持ててしまうから不思議。とりあえず野鳥観察には出かけたくなった。2021/08/13