内容説明
痛みとはなんだろうか。単に身体の異常を感知する感覚というだけではなく、不快な情動を伴うことによって、警告信号を発信する重要な役割を果す。一方、身体の異常がないのに、慢性的に続く痛みもある。痛みを抑える治療は古代から試みられ、発展してきた。そして現在、神経科学や分子生物学などの進歩により痛みそのものについての理解も深まってきている。
目次
第1章 痛みは警告信号?(ホメオスタシスとストレス;侵害受容と防御反射;痛みの学習と無痛症;痛みは感覚?;痛みは情動?;急性痛と慢性痛;痛みの定義)
第2章 痛みのメカニズム(神経における情報伝達機構;痛みを伝える情報伝達機構;関連痛;痛みの異常のメカニズム;内因性疼痛抑制系)
第3章 痛みに関連する物質と受容体(イオンチャネル型受容体と代謝型受容体;発痛物質と炎症メディエーター;カプサイシンと温度受容体;神経成長因子と侵害受容ニューロン;神経伝達物質と受容体;ニューロペプチド;内因性オピオイドペプチドとオピオイド受容体)
著者等紹介
小山なつ[コヤマナツ]
奈良女子大学から奈良女子大学大学院(修士課程)時代、動物生態学、とくにトビケラ(水生昆虫)の生態、分類および行動について学ぶ。その後、滋賀医科大学生理学講座の故・横田敏勝教授の下で、痛みと鎮痛の生理学について学び、現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Haruki
1
痛みは、神経因性疼痛、心因性疼痛に分類され、単なる組織損傷にとどまらず、情動に関わり不快感、学習など広範囲なシステムである。上巻では神経系(Aβ,Aδ,Cの分類、伝導路、PAG、視床、扁桃体、体性感覚野)、侵害受容器・受容体(イオンチャネル、代謝型受容体)、神経伝達物質、ニューロペプチド、内因性オピオイドペプチドなどの構造、メカニズム面を概説する。触覚と痛覚の経路の違い、髄鞘の圧迫や脱髄による痛み、NGFによる神経選択、温度受容器('21ノーベル賞)、オピオイド受容体などが痛みの仕組みに特徴的で興味深い。2022/01/29
Yasuko Watanabe
0
★22017/12/31
みーこ
0
薬学部生です。鎮痛薬に関する実験のレポートを書くのに利用させていただきました。専門的であるうえにとても分かりやすかったので、非常に重宝しました。2016/10/20
こぼれるキュウス
0
非常にためになる一冊。 疼痛に関して基礎的な内容がわかりやすく記載されていました。 一度読んだだけでは少し理解するのは困難と思いますので,もう一度読み直したいと思います。2012/10/07
ひとり部長
0
科学読み物というより、教科書だね2012/06/04