内容説明
時代の記憶、世代の記憶、人生の記憶。「記憶共有化装置」としてのテレビの変遷を異なる世代の視聴者の目を通して辿りつつ、ネット時代の新たなテレビとのかかわり方、コミュニケーションのあり方を探る。
目次
日本のテレビ放送小史
第1部 テレビによる記憶の共有(記憶研究とテレビ;テレビが構築する集合的記憶―番組・アイドルの共有)
第2部 テレビ時代の記憶(現在の高齢者たち―「大人」としてテレビに出会った最後の世代;団塊の世代―テレビと成長をともにし、老いに向かう;「仮面ライダー」登場世代―テレビ黄金期を共有した少年たち ほか)
第3部 テレビ新時代―多メディア環境におけるテレビ視聴の動向(首都圏大学生のメディア利用動向(2001~2012年)
インターネット世代のテレビ・コミュニティ―大学生のテレビ視聴
「好き」を選択的に共有するモバイル世代―中学生へのインタビュー調査 ほか)
「ポスト・テレビ時代」のテレビ
著者等紹介
萩原滋[ハギワラシゲル]
慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NEWJPB
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世代ごとにテレビ視聴の関係性をインタビュー調査から仮設し、それを定量的方法で実証しようとした共同研究が集約された本。オーディエンス研究を行いたい向きには、手堅い足場を提供してくれるだろう。実証結果は予想に反することあり、それらが一つのテレビ経験の社会史としても読める。解説書ではないので、表現はテクニカル。一定の文脈と知識を要求する。集合的記憶については、モーリス・アルブヴァクスとピエール・ノラについても合わせて読まれたし。2015/01/07
ゆうき
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テレビというメディアは戦後、国民の集合的記憶を作り出す機能を果たしており、個人の記憶が多く集まるこで集合的記憶を作り出していた。しかし、インターネット、SNSの普及によりテレビは他者と繋がるための装置となり集合的記憶を作り出す装置から退却する可能性が強まった。しかし、テレビが伝える大きな事件やニュース番組は視聴者へ大きな影響力をもち、国民の記憶としてテレビは影響力を持っている。それは集合的記憶を作り出して想像の共同体を生み出すのに影響力を持っている。2013/11/21