内容説明
今では失われてしまったかつての姿を記録した写真で、世界の偉大な建築物をめぐる。バーミヤーンの大仏のように粉々になってしまったものから、都市計画の一環で解体されてしまったもの、紛争地帯に残されたために消滅の危機にさらされているものまで。世界中で人々が守り伝えてきたものを、改めて伝える。
目次
1 永遠に失われた偉大な建築(古代神殿さながらの美しい駅舎―ペンシルベニア駅旧駅舎;大都市を分断した壁―ベルリンの壁 ほか)
2 一部は失われ、一部は残った(「東洋の宝石」と讃えられたホテル―帝国ホテル、ライト館;平和のシンボルとなった大聖堂―コベントリー大聖堂 ほか)
3 危機に瀕する遺産(砂漠にそびえる伝説の黄金郷―トンブクトゥ;中世アラブの面影を残す古都―アレッポ ほか)
4 再び立ち上がる日(崩れ落ちた大統領宮殿―ハイチの大統領宮殿;日本軍と英軍の戦闘で焼失―マンダレーの王宮 ほか)
著者等紹介
安倍雅史[アベマサシ]
1976年生まれ。東京文化財研究所文化遺産国際協力センター研究員。英国リヴァプール大学博士課程修了。1997年より、シリア、ヨルダン、イラン、バハレーン、キルギス、アフガニスタン、カンボジアなどで考古学調査と文化遺産保護に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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美登利
98
世界遺産の番組が好きです。世界には多くの遺産があってほとんどは自然が作り上げたものだという印象があります。人間が自分たちの力で長期間かけて建立したものを、勝手な理由で一瞬で壊してしまった建物がこんなにたくさんあるとは。地震によるものは仕方ないと思うけれど、火災や紛争で壊された建物と同じことを今現存する遺産に繰り返さない為にも、この事実を知ることは大切だと思いました。2018/08/28
藤月はな(灯れ松明の火)
98
図書館ブラウジング中、「父が好きそう」という理由で借りた見繕い本。開発や戦争、災害などで破壊され、もう見られない美しく、気高い建築物に想いを馳せずにいられない。特にバーミヤンの石仏が破壊された事やパルミラ遺跡の保護の第一人者であるハレド・アル=アサド氏が殺害されたというニュースは、当時の私にとっても衝撃的だった。同時に歴史を記す物が容易く、失われてしまうという重さとその保護に伴う覚悟について考えさせられた。それでもドレスデン聖母教会やワルワシャ旧市街と新市街のように人々の思いと努力によって蘇るものもある。2018/07/10
mocha
94
かつて威容を誇った様々な建造物。遺された写真と現在を比較して見ることができる写真集。地震や火災などやむを得ないものもあるが、爆撃やダムへの水没など人の手で壊してしまったものも数多い。南米ダカールラリーで地上絵を踏みにじったことなど、もっと報道されてもよかったのでは?有力な企業が絡むとうやむやになってしまうのか。破壊された歴史文化遺産の数々を、やるせない気持ちで眺めた。2020/01/30
ゆみきーにゃ
90
《図書館》読メで知った一冊。紛争で破壊された遺産が多すぎて読んでいて悲しい気持ちになってしまった。美しい遺産が数多く載っていたのに、もう見ることが出来ないのは残念でたまらない。それにしても世界にはこんなにも美しい遺産が遺されたていたんだな〜2018/08/25
けんとまん1007
64
遺産。人間の素晴らしさと愚かさの両面を感じる。これだけのものを創る力と、それを破壊してしまうこと。宗教・思想・・。一方で、それを復元する力の素晴らしさも。2020/11/30