出版社内容情報
関東軍に父・張作霖を殺され,「満洲」を逐われ,蒋介石に忠誠を誓い,国共合作を画策したかどで,半世紀,台湾に幽閉された張学良.「流亡」の身で,日中戦争と国共内戦に翻弄されながら,心は「救国」の悲願に燃えていた.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
フンフン
4
本書でも、西安事件最大の謎、「連共抗日」を蒋介石に守らせる保障は何だったのかは明かされない。著者は張学良にインタビューまでしたのに。たとえ張学良が秘密を明かさなかったとしても、質問するだけはしろよ!2022/04/05
印度 洋一郎
3
満洲を支配した軍閥、張作霖の息子にして西安事件の首謀者・張学良を中心に満洲を巡る日中の関係を辿る。20世紀前半の満洲は、経済的(大豆の輸出)に重要な土地であり、工業化も進んでいた。しかし、中央の孫文や蒋介石からは満洲=東北は重要視されず、満州事変でも援軍も無く、見殺しにされてしまう。その後の張学良と配下の東北軍は明らかに中央から冷遇され、捨石同然の扱いを受けるが、これが西安事件の最大の動機だったらしい。その結果は中国を一丸として抗日戦に立ち上がらせたものの、ほとんど生涯を幽閉されて終わる事となった。2012/01/07
wuhujiang
0
・張学良の伝記 ・抗日戦前中国の思想状況 が両立されている出色の著作という感想 張学良は当初 ・救国救亡(近代国家を作る「救国」・中華民族を救う「救亡」) ・東北回復 すべて蒋介石への服従という行動で満たせると思っていた しかし、途中で 救国→変わらず蒋介石率いる国民政府による中国統一 救亡・東北奪還→抗日を目的とした中華民族の結集 と方向が別れてしまった そこで兵諫という手段を取り、 蒋介石をトップにした統一戦線の結成を図った 上記の姿勢は中国のアイデンティティーを代表しえていた