講談社現代新書<br> 日本人の言語表現

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講談社現代新書
日本人の言語表現

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  • サイズ 新書判/ページ数 241p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784061158108
  • NDC分類 810.4
  • Cコード C0281

出版社内容情報

【内容紹介】
日本語は微妙なニュアンスと深い陰影に富んでいる。さらに日本人特有の話し方、書き方が、日本語をいっそう複雑で、むずかしいものにしている。本書は、古典から現代の歌謡曲、CMまで幅広い材料を豊富にひきながら、ことばの奥底にひそむ心理を明らかにしていく。著者ならではの鋭い指摘、軽妙で、エスプリにみちた文章、ことばに対する暖かい眼はものの見方、文化の特質まで射程におさめる。

いうな、語るな――日本で話さない方が評判がいいのは、実は男も同様である。昔中学校時代に読んだ漢文の教科書に、貝原益軒の逸事が出ていたが、どこかの渡し舟の中で、乗り合わせた1人の若造がとうとうと経書を講義するのを益軒は黙って傾聴したという話しで、その奥ゆかしさをほめたたえていた。古くは、『今昔物語』の『源頼信朝臣ノ男頼義馬盗人ヲ射殺ス語」に、源頼信の寡黙が源氏の棟梁としていかにもふさわしい人格であったかのように書かれている。明治時代には大山元帥が、近くは山本五十六が沈黙の英雄としてたたえられた。男は黙ってサッポロビール、というコマーシャルは、この精神から作られた。――本書より

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さきん

27
現在は言い回しはもっと簡略化進んでいると思うが、未だに敬語の使い方などは苦労する。表現の多様性はその地域文化の厚みを反映しているわけであって、是非残していきたい部分ではあるが、自分にとっては不便と思うことも多い。一応日本と題あるが、東京と京都周辺に絞った方が良いと思うほどまどろっこしい表現も多い。2020/12/30

飯沼ふるい

2
日本語の表現は実にまどろっこしい。遠まわしで、「察する」力がいる。「日本人は言い訳をしてから歩き始める」。ということなどへの良し悪しを豊富な引用で説明される。文化史的に掘り下げて説明してほしいと思うとこもあったけど、日本語の悪いとこもご愛嬌のように語られ、愛情の感じられる評論。島国に儒教倫理が浸透したから余計、「内輪」に特化する語法に発達したのかな。その「味」もいいけど、欧米的な分かりやすさというのも大事だな。 しかし引用の多くが古典で、古文が読めない事実に直面。古文も読めたら読書もより捗るだろうに。 2018/02/18

のぞみ

2
43年前に書かれた本。そして、25年前に買った本。うーむ、難しい。 時代を感じるところもあり、言葉の変化を感じる点もあり、そして変わらぬ部分もあり。 言葉は面白い。2018/01/16

nosime_tombo

1
「死んでもいいわ」という「月がきれいですね」の対になる名訳を知った。いや、初見じゃ分からないよ。でも好き。婉曲的な表現、言っていることと意図が逆、言わずに伝える、命を懸けて一言を発する。私の現代的感覚とはミスマッチで反感を感じない記述がないわけではないが、慎ましさや気迫や思いやりといった心の遺産は令和にも引き継がれてほしいなあ。2024/04/14

せと

1
おじいちゃんがのんびりといろんな例を引きながら日本語の特徴を探っているような感の本。解説中の例のチョイスなどにやや古さが感じられ、中には「この特徴は現代ではもう見られないな」と思うものもあるが、非常に読みやすく、納得してしまう説明もかなり多い。言わない・書かないことをよしとし、これでもかとばかりに断定的な言い方を避け、花鳥風月に人生を見、相手に気を遣った表現になるよう尽力することを良しとする日本語。読後には日常生活の中で聞こえる日本語・見える日本語を今までよりもぐんと面白いものとして捉えられるようになる。2013/07/23

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