内容説明
活字印刷術はどのような前提条件のもとに生まれたのか?それまでに達成されたさまざまな技術革新だけでなく、文字使用や商取引慣行の進展、紙の普及などがなければ、マインツの工房での偉業もありえなかった。しかし当時の書物には目次や出版者の名もなく頁付けもない。読者に便利な情報一覧や現在の書物のような体裁はその後の技術の改良とともに整えられて来たのである。こうした新しい産業に従事した誇りたかき印刷人や書籍商たちはどのような人びとで、どのように仕事をしたのだろうか。そして著者や読者たちとの関係は?書物をめぐって生きた人びとの姿を鮮やかに描く。
目次
第1章 前提条件―ヨーロッパにおける紙の出現
第2章 技術的問題とその解決
第3章 書物の体裁
第4章 商品としての書物
第5章 本造りの世界
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
25
この間読んだ本に書いてあってまだ読んでいなかったようなので借り出す。1971年初出。本書は、印刷本の誕生、発展を扱う(069頁)。序章前の書物の変遷だけでも十分役に立つ内容ではある。13C末~14Cにかけて、作品朗読に聞き入るだけでなく自分自身でも読書できる人数が増加するにおよんで、専門技能化。作者は、ここからはただ執筆、編纂に専心(090頁)。製紙法は751年の蔡倫のものを思い出すが、イタリアには12Cに羊皮紙が出現(105頁)。14C~19Cまで、紙の主原料はぼろ(119頁)。2021/05/21
( ̄∀ ̄)
1
羊皮紙から紙への推移。2013/02/06