出版社内容情報
《内容》 診断,治療を決定するための病歴聴取や患者の訴えの聴取,および患者への病名告知,治療の説明と同意をうるためのインフォームドコンセントといった,患者と医師とのコミュニケーションそのものが,患者の苦悩に配慮した広義の精神療法となりうります.本書は,理論,臨床,文化の観点から,の3部構成で,語りと聴取(ナラティブ・ベイスト・メディスン;NBM)の重要性を説きます.
《目次》
■序 論
ナラティブ・ベイスト・メディスン(NBM)としての精神医学
■理 論
1.<あいだ>と言葉
2.日本語と精神科―日本語臨床の視点
3.間主体性と語り
4.精神分析における解釈と経験の変容
5.語りと強度―行為論的精神病理
■臨床:言葉の処方箋―日常語の効用と、病態による治療者・患者の語りの様態
1.統合失調症における語りと聴取
2.神経症における語り
3.うつ病者の語り
4.摂食障害における治療的言語
5.境界性人格障害における語りと聴取
6.語りからみた心身症
7.幻想の語り
8.希死念慮を強く訴える患者に対する精神療法的接近
■文化の観点から
1.芸術療法における言葉と語り―言語とイメージと芸術療法
2.伝統型精神療法と大衆型精神療法
3.沖縄における語りと医療
4.サイバー空間と精神医学
5.文学にみる語りと聴取
6.情報化時代における精神科臨床―診療録の記載と病名の告知