内容説明
都市の近代化は、現代人の心を蝕み、自然をも排除する。未来永劫の時と悠久の時の流れの標章として私たちの想像世界を刺激してやまぬ川。その原風景とアメリカ的想像力の関わりを類型学的に考察する。
目次
アメリカ文学を流れる川―序にかえて
逍遙する想像力―形成期アメリカ文学と川辺の風景
ロマン主義的自我の昇華と川
機械文明と川―ホイットマンとハート・クレイン
現代アメリカ社会と川―ブローティガンとディッキー
川が呼び起こす記憶―トニ・モリスンと川
川と時と―現代アメリカ女性作家と川の情景
川と楽園―エドガー・アラン・ポー
地図にある場所、地図にない場所―ハーマン・メルヴィルの川
『ミシシッピ川の生活』―過去と現在の狭間で
「川上り」から「川下り」へ―マーク・トウェインに見られる三つの層
『ハックルベリー・フィンの冒険』―プロパティからの解放
フォークナーとウェルティ―時間とサイクル
生と死の両義性、および、氾濫する川―ヘミングウェイとウルフ
スタインベック―非目的論的思考と生き抜く力