内容説明
1688年。ルイ14世、康煕帝、ヘンリー・モーガン、ニュートン、ピョートル大帝、井原西鶴、松尾芭蕉、皇帝アウラングゼーブ、ライプニッツ…縦割りの世界史では交わることのない彼らが生きた、ある一年―地球は、人間の生き方を根本から変えられると信じたさまざまな英雄や悪漢たちがひしめく、絢爛豪華(バロック)な時代だった。世界中が近代へ生まれ変わろうとする一年を、バルザックのように生き生きと活写し、歴史の見方を一変させるユニークな世界史。ワシントンポスト紙他絶賛、世界10ヵ国で翻訳出版されている話題の作品。
目次
第1部 木造船の世界
第2部 大会社の世界
第3部 三つの別世界―ロシア、中国、日本
第4部 ヴェルサイユ、ロンドン、アムステルダム
第5部 言葉の世界―ヨーロッパにおける様式と思想
第6部 イスラムの国々
第7部 流浪、希望、家族
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
28
とかく時間の縦軸で語られる歴史を、1688年という横軸で世界史を切り取る事で見えてくる視座。賢帝と名高い清の康熙帝と太陽王と称される仏のルイ14世が同時代人で、英では名誉革命が起こり、南米やアフリカは商業という名の搾取に蹂躙され、元禄初年の日本は世界に稀たる太平を浴する中、井原西鶴や松尾芭蕉が文化を残し、アラブとインド世界は混沌を継続する。基礎知識や教養が足りていないので情報の横溢に参ってしまった。当時、生きていた人間たちは歴史の分水嶺にいたなどとつゆとも思っていなかっただろう。それは現代人にも言える。 2024/05/24