内容説明
20‐30年代にかけての都会の急激な変化は、農村から多くの人びとを吸収した。そして一見、華やかな都会の底辺では、社会制度の諸矛盾や苛酷な労働に呻吟する人びとの、今日では忘れられかけている問いが渦巻いていた。
目次
セメント樽の中の手紙(葉山嘉樹)
砂糖より甘い煙草(小川未明)
繭(林房雄)
キャラメル工場から(佐多稲子)
電報(黒島伝治)
地獄(金子洋文)
土竜(佐左木俊郎)
彼女と東京(和田伝)
滝子某他(小林多喜二)
三等船客(前田河広一郎)
投げすてよ!(平林たい子)
生蝕記(高橋新吉)
中尉と癈兵(江口渙)
ルンペン微笑風景(里村欣三)
手投弾(秋田雨雀)
二つの心臓(岩藤雪夫)
春さきの風(中野重治)
最初の記憶(徳永直)
階級文芸に対する私の態度(久米正雄ほか)
階級芸術抹殺論(川崎長太郎)
芸術の革命と革命の芸術(青野季吉)
冬を越す蕾(中条百合子)