内容説明
古代最大の内乱“壬申の乱”は、人間の心性や生活、文化の深みにおいて、いかなる変化をもたらしたか。近世の国学者、近代・現代の歴史学者による膨大な研究の蓄積を踏まえつつ、唯一残された乱の記録=壬申紀をたんねんにたどり、行間に織りこまれている人々の経験、その歴史的意味を読み解く。
目次
大海人皇子
古代宮廷の人間模様
吉野への亡命
空位期のこと後宮のこと
大海人たちあがる
乱の勃発
東国を志す
意図と歴史と
黒雲を占う
鈴鹿から三重へ
天照大神を望拝
近江朝側の動揺
大伴氏の賭
大海人のカリスマ性
古京飛鳥を攻略
戦闘配置
将軍吹負の敗北
混戦
近江での決戦
大和での戦い
神々の託宣
乱の結末
勝利
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
翔亀
17
【壬申の乱3】1990年。国文学者による書紀の注釈書。そもそも書紀は歴史書だからその注釈も、一見歴史書と変わらない。しかし、古代人の心情やロマンを浮かび上がらせようとしているのが文学者らしい。大海人(天武)の呪術者的能力からくるカリスマ性(=<英雄的>)による情緒的共同体 VS 大友皇子の「才くらぶる人なきが、亡ぶべきいわれ」(上田秋成)と言われる性格による官人的体制。この違いが勝敗を分けたとするなど、読み応えがある。著者は文庫版で8冊に渡る「古事記注釈」があり、↓ 2014/02/22
はちめ
8
著名な万葉学者による壬申記であり、万葉集からのアプローチを期待していたが、正面から日本書紀を読むスタイルでちょっとがっかりした。1993年の出版であり情報的にも新しいとは言えないが、一つの読みとして興味深くは読めた。☆☆☆☆2020/09/22