出版社内容情報
パリの遊民として,全世界への呪言を綴る異色のエッセー。異端の神々や仏陀に託して己を語り,空・涅槃・死・救済をめぐって,変幻自在に人間存在への憎悪を語る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふりゃ
3
この言説、特に造物主・神に関する部分を読んでいると、さも当然のように矛盾を内包していながらも、不思議と説得力のある苦悩と憎悪の伴った告発の毒気に中てられて、自分の持っていた今までの価値観が逆転するような錯覚にさえ陥る。 現代の虚無を抱える人たちにとって、このアフォリズムはわりと共感できる気がする。呪詛を吐きだし文章として書き続けて安寧を求めようとするシオランの精神は、Twitterにド嵌りしている人達のそれとよく似ているのかもしれない。2014/02/24
クラウド
1
生きることの虚無的な感覚、そして解脱、空への導き。 シオランはキリスト教の世界観で育ちながらも、仏教的な考えにも造詣が深いことはポイントのひとつだろう。2023/04/03