出版社内容情報
既成のカトリック的世界像を打破しようとするルターやメランヒトンの宗教改革の内部にも、占星術を背景として古代のダイモーン的活動が復活し、その影響は新興のメディアである印刷術を介して四方に広まっていく。ヨーロッパ精神の基底に存する論理と魔術の緊張関係を、言葉とイメージの相互作用のうちに析出したヴァールブルク畢竟の論考。「アテネは繰りかえし新たにアレクサンドリアから奪回されることを求める」。
第1章 ルターの時代の言葉と図像における異教的 = 古代的予言
付属資料
第2章 東方化する占星術
原 註
補 註
図版一覧
解 題 アレクサンドリアとアテネ 伊藤博明
あとがき
人名/著作名/美術作品名 索引
内容説明
ルターの宗教改革の内部に復活し、占星術に巣喰う古代のダイモーン的活動を、言葉とイメージの相互作用の内に析出する、時空を貫き、表象の閾をとりはらい、世界の隠された徴を顕わにする、イコノロジーというテクノ‐イデアの精華。
目次
第1章 ルターの時代の言葉と図像における異教的=古代的予言
第2章 東方化する占星術
著者等紹介
伊藤博明[イトウヒロアキ]
埼玉大学教養学部教授
富松保文[トミマツヤスフミ]
武蔵野美術大学造形学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
宗教改革者ルターは占星術を否定したという。が、その信奉者は木星と土星が重なる1484年10月に予言者が出現するという占星術の言葉をこの改革者の誕生と重ねていた。一方、最新の印刷術を理解し、自らの技法を公開して近代的芸術家像を作ったデューラーの絵画にも、多くの占星術的テーマが描かれている(土星をテーマとし、木星の魔方陣を描く「メランコリアⅠ」等)。この変革の時代を歴史の直線から解き放つ著者は、ヘレニズム期からアラビア圏を経由して、支配層と農民層の対立が激化するヨーロッパに流布する魔術書のネットワークに見る。2019/04/06