内容説明
社会や経済の規模が大きくなって、そこでの現象を支配している要因の数も多くなると、それらの要因の間の関係を取り扱う手だてが必要になってくる。線形代数はその要求にみあった構造を持っている。そして要素の数によらない理論構成はひろい応用を可能にしている。理論として定式化された数学を学ぶことはそんなに易しいことではない。数学特有の論証方法などによくなじまないとなかなかついていけないところがある。とはいえ、数学理論の成立過程の紆余曲折をたどることが初学者にとってよいとは限らない。本書では応用問題を扱いながら数学を学ぶ立場をとった。
目次
第1章 割り当て問題と行列
第2章 行列の演算
第3章 構造的関係の行列表現―グラフ理論
第4章 最適戦略の行列表現―ゲームの理論
第5章 逆行列
第6章 行列式
第7章 線形空間
第8章 線形変換
第9章 固有値と固有ベクトル