内容説明
本書は、できるだけ実証的な研究をベースに、教育の場で進む階層化の実態とそのメカニズムとを解明しようとするものである。教育というスクリーンに映しだされる日本社会の階層化の動きをとらえることによって、私たちは、いま起こりつつある「階層と教育」の局面変化が、どのような影響を私たちの社会に及ぼしうるのかを知ることができるだろう。
目次
序章 問題の提起―「階層と教育」問題の局面変化
1章 流動化の時代―戦後日本の社会移動と教育
2章 メリトクラシーの時代
3章 能力主義と「差別」との遭遇―「能力主義的‐差別教育」観の社会的構成と戦後教育
補論1 平等主義のアイロニー
補論2 不平等問題のダブルスタンダードと「能力主義的差別」
4章 大衆教育社会のなかの「学歴貴族」―教育改革とエリート教育
5章 努力の不平等とメリトクラシー
6章 「自己責任」社会の陥穽―機会は平等か
7章 「自信」の構造―セルフ・エスティームと教育における不平等
8章 インセンティブ・ディバイドと未来社会の選択
著者等紹介
苅谷剛彦[カリヤタケヒコ]
1955年東京生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。ノースウェスタン大学大学院博士課程修了、Ph.D.(社会学)を取得。ノースウェスタン大学客員講師、放送教育開発センター助教授等をへて、現在、東京大学大学院教育学研究科教授。専攻は教育社会学、比較社会学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。