感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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フロイトも論じているイクナートンの一神教革命を、古代エジプト宗教史の重大な転換点としつつも、その宗教観は一貫して多神教的であったと主張する本書。フロイトが見たイクナートンからモーセへと続く一神教の直接的関係は否定されているが、最近翻訳された主著のタイトルが『エジプト人モーセ』なので、そちらも気になる。政治的生・宇宙的現象と重なりあった宗教観を説明するには、解釈学的に「暗示された神学」を再構成し、それと同時にテクストに「明示された神学」の方は、「ディスクール」として具体的な文脈に位置づけ直される必要がある。2016/12/23