出版社内容情報
ニューヨーク市場の大暴落に始まり、戦時下のスターリンとナチスの条約締結で政治的頂点に達した30年代は、作家・知識人がマルクス主義に傾倒した「赤い時代」でもあった。希有な政治文芸誌『パーチザン・レビュー』に結集したアメリカにおける最初の「知識人」たちは、スターリニズムに幻滅した政治的ラディカリズムと、プロレタリア文学運動に飽き足りないアヴァンギャルドとしてのモダニズムを再評価し、ヨーロッパの文化の導入に努めた集団であった。いまやアメリカ文化の中核を担う存在に成長したその先見性に富んだ知識人グループのスタート時における「希望と絶望」の声を再現する。
トロツキー、エリオット、ジッド、トリリング、グリーンバークらの歴史的論文を掲載。――ダニエル・ベル、ソール・ベロー、スーザン・ソンダクらの思想的原点を詳細に辿る力作!
内容説明
アメリカにおける最初の「知識人」―モダニズムと反スターリニズムを原点に、ヨーロッパ文化の導入に努めたニューヨーク知識人グループの創成期を、政治文芸誌『パーチザン・レヴュー』の歩みを通して描き出す。
目次
序章 三〇年代から四〇年代へ
第1章 一九三九年、白鳥の歌
第2章 一九三七年の異端―『パーティザン・レヴュー』グループの誕生
第3章 第一次『パーティザン・レヴュー』の生と死―一九三四‐一九三七
第4章 第二次『パーティザン・レヴュー』の出発―「二つのM」と文化英雄たち
第5章 一九三八年秋の転機―三〇年代の終焉に向けて
第6章 「かくして、一九四〇年代の夜明けは訪れる…」―失われた幻想と回心
補章 幻想からの回復期―グランヴィル・ヒックスの八月二二日以後
著者等紹介
秋元秀紀[アキモトヒデキ]
1962年東京生まれ。関西大学大学院博士課程後期退学。現在、関西大学文学部教授。専攻はアメリカ文学
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