内容説明
待ったなしの危機「プラごみ問題」。とりわけ海の汚染は深刻だ。一刻の猶予も許されないなかで、科学者たちの取り組みにより少しずつ問題の姿が現れてきた。なぜ生きものたちはプラスチックを食べるのか。軽いプラスチックがなぜ深海底にたまるのか。生分解性プラスチックなら問題は解決するのか…。海洋研究開発機構研究員にしてWEBサイト「プラなし生活」運営人でもある若手海洋学者が、現状と問題を整理するとともに研究状況をわかりやすく伝え、現時点での解決策を提示する。
目次
1 どこもかしこもプラスチック!
2 使い捨て文化―大量生産と大量廃棄
3 海に漏れ出すプラスチック
4 あなたもわたしも海洋プラスチックの排出者
5 プラスチックは最終的に海のどこにいくの?
6 行方不明プラスチックの謎
7 ディープ・インパクト―海洋生態系と人への影響
8 海にプラスチックを漏れ出させない方法
著者等紹介
中嶋亮太[ナカジマリョウタ]
国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTECジャムステック)研究員。博士(工学)。1981年生まれ。2009年創価大学卒後、同大学助教、JAMSTECポストドクトラル研究員、米国スクリップス海洋研究所の研究員を経て、2018年から現職。日本サンゴ礁学会川口奨励賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kinkin
104
海に浮かぶペットボトルやプラスチック片。ビニール袋。からまった釣り糸他様々なプラスチックを見たことがあるだろうか。私の近くの海にも季節風とともに秋から冬になると大量のこうした海ゴミが押し寄せてくる。しかしそれは日本に限ったことではなく世界中の海でも同様ということだ。また海に浮かぶだけでなく砂浜にはマイクロプラスチックという微小なプラスチックや深海にも一部が堆積しておりそれは魚や海洋哺乳類の体内からも検出されている。この本はこうした現状を平易でわかりやすく書かれている。図書館本2020/01/10
Arisaku_0225
20
2019年発行。プラスチックが海洋に流れている実態は一般人が思っている以上に深刻なようだ。それは人為的影響の少ない離島から果てはマリアナ海溝に住むヨコエビ類の中にまで我々がうんだプラスチックは拡散されている。「人新世」という地質時代ができるのならば、地質的な一大特徴としてプラスチックを挙げてもいいのでは無いか?それは冗談として、このプラスチックが海洋生態系に物理的・化学的影響は計り知れない。我々の目に見える大きさのものでは、誤食による消化管損傷や覆い被さることによる窒息死などが挙げられるが→2024/02/08
kubottar
20
化粧品や歯磨き粉の入ってるスクラブは、プラスチックの粒なんですよね。そういう小さいモノが溜まっていって大変なことになっているという話です。2019/11/17
makio37
15
使い捨てプラスチックの使用量をとことん減らし、一方で生分解性バイオマスプラスチックを普及させ廃棄物の管理を徹底する。至った結論に新味はないけれど、なぜそれが必要なのか、そもそも何が起こっているのかを、本書を読むまで人に説明することはできなかった。製造時の添加剤や海中で吸着した汚染物質が、マイクロプラスチックとともに魚介類の脂肪等の中に溶け込み、濃縮される。人体への影響度など不明点も多いけれど、これ以上海にプラスチックが増えても誰もハッピーにならないのは確か。日々の生活と業務に活かしたい。2020/01/05
アセロラ
14
海がどれほどプラスチックゴミで汚染されているか、データを元にわかりやすく説明があり、それをふまえて解決策を模索しています。浜辺や海に浮かぶ以外にも海底や深海にもプラスチックはある。日本の一人あたりのプラスチック消費量は米国に次いで2番目。化学繊維の生地を洗濯するとマイクロプラスチックが大量に発生する。著者の言う解決策は、廃棄物管理の高度化及びプラスチックの大量生産大量消費を変えること。「バイオマスプラスチック」にも多種ある。勉強になったこと書ききれません。再読し関連書籍も拝見し、もっと勉強したいです。2020/01/31