出版社内容情報
中国はなぜこの地域の領有権を主張しているのか。米国・東南アジアの国々はどう向き合っているのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
14
南シナ海で、最も注目を集めているのは南寄りに位置するスプラトリー(南沙)諸島である。ここを巡っては現在、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイという6つの国と地域が領有権を主張して争っている。ワシントンが南シナ海情勢を懸念する最大の理由は、大西洋に加えて太平洋にも向き合う領土を獲得することで米国が「巨大な海洋帝国」となった19世紀以来、米国の「パワーの源泉」と信じてやまない米海軍の「航行の自由」が、この南シナ海、すなわちインド洋と太平洋を結ぶ結節点で脅かされてはならないという点にある。2017/11/02
がんぞ
2
奥付8月4日。ハーグ国際仲裁裁判で「PRC南シナ海領海化主張」全面敗訴が7月12日だから、予定原稿に修正して急遽出版したのではなかろうか。判決は「当然」ではあるが「予想以上に踏み込んだ表現でPRCを非難」との声も聞かれる(この小冊子にはないが)、判決前から「裁定に従わない」と不逞不貞しく明言していたことも影響したかもしれない。まさに1971年国連総会「中共招致、常任理事国入り」決定時、米国高官「国連を教室、自らを教師、我々を生徒とするつもりか」が実現。古来の「かつて領土であったものは中華の地」=「大一統」2016/10/20
Yukihiro Fujii
1
南シナ海の歴史的考え方を理解して最近の関係国の動向を見るとよく理解できる。 特にRPC(中共)の「大一統」とその他の国の「法の支配」との対立が…当然どちらが国際的ルールかは明白だが…⁉️2016/11/13
都人
1
岩波書店の発刊だけに「中国寄り」かなと思って読んだが。2016/10/07
call
0
著者は南シナ海問題の背後に中国の掲げる「第一統」とアメリカの標榜する「法の支配」の衝突があると分析している。その観点から南シナ海の歴史と現状を述べている。南シナ海はパワーバランスの変化が今まさに起きている場所で中国が既存の秩序に今まさに反抗しているのだということが見て取れた。南シナ海は習近平、ドゥテルテ、トランプ(?)のいわゆるワルの外交がぶつかりある場所になるであろう。今後も注目したい。2017/03/19