岩波現代文庫
秘境ブータン

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  • サイズ 文庫判/ページ数 314p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784006032296
  • NDC分類 292.58
  • Cコード C0126

出版社内容情報

1958年に単身ブータン入りした探検家が,ヒマラヤにひっそり佇む古代的な小王国の自然と社会と文化を日本にはじめて紹介した.山ヒルの襲いかかる密林の道,ブータン・ヒマラヤの氷蝕地形,高山に咲く青いケシの花,チベット遊牧民の名残の風俗.百数十点の貴重な写真とともに臨場感あふれる筆致で描く.(解説=山口裕文)

内容説明

一九五八年に単身ブータン入りした探検家が、ヒマラヤにひっそり佇む古代的な小王国の自然と社会と文化を日本にはじめて紹介した。山ヒルの襲いかかる密林の道、ブータン・ヒマラヤの氷蝕地形、高山に咲く青いケシの花、チベット遊牧民の名残の風俗。百数十点の貴重な写真とともに臨場感あふれる筆致で描く。

目次

秘境ブータン(次はブータンだ;密林の奥;カリンポンへ;ブータン・ハウス;ブータン国境 ほか)
ブータン・その後(チベットの叛乱;ドルジ首相の暗殺;ブータンの新しい歩み)
二十三年目のブータン―文明を運んだ一本の道 村が都市になり、労働力は不足(照葉樹林の細道がいま…;ブータンという国)

著者等紹介

中尾佐助[ナカオサスケ]
1916‐93年。愛知県生まれ。京都帝国大学農学部卒業。専門は栽培植物学・遺伝育種学。大阪府立大学教授、鹿児島大学教授を歴任。アジア・アフリカを広く学術探検調査し、栽培資物の起源とその伝播に関連する生活文化を総合的に研究した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

JADE

16
60年以上前、日本人として初めてブータンに入国した植物学者の紀行文。自動車が1台もなかった近代化以前のブータン。馬やラバの背に揺られたり歩いたり、熱帯の密林では山ヒルに血を吸われ、氷雪の高山では寒さに震えての2か月間。植物や農業はもちろん、ブータンの食事、住居、風習、服装、若者の恋愛事情、さらには雪男まで、もう楽しくってしょうがないといった感じの溌溂とした文章で記録されていた。ブータンのことは何も知らなかったので、ほぉとかへぇを連発しながら読んだ。筆者の行動力はすげぇと思ったし、写真も興味深かった。 ☆42022/07/16

壱萬弐仟縁

10
巻頭に、幸せな国民と言われる人たちの写真が多数収録。ここもTIME誌に書いてあったが、10万人の観光客を呼び込みたいようだ。近代化の波は幸せを台無しにしないようにしてほしい。日本の限界集落も彼らに学んで稲作や家畜を生産していくことが重要に思える。O.フランクスが南北問題を提起した1959年初出。KJ法の川喜田二郎先生もご登場(21ページ)。京大の先生はどの分野も尊敬できる人ばかり。照葉樹林の国。竹製品の手仕事(57ページ)が素朴。バターと塩のチベット風お茶。木工や金工職人もいる。30キロを背負う女性の姿。2012/12/23

Kazyury

8
ほぼ60年前のブータン探検行。 なんだろう、本書の時代のブータンへの親近感は。 筆者の背景にはあるであろう、「古き良き日本」的な原風景を、自分は共有できていない筈なんだが。 あと、本書後半で「雪男」を探しに行こうとしていたところで、ちょっとした既視感。 次は、高野君のブータン本でも再読して、ブータンと雪男の今昔、この親近感の源でも探ってみようかな。 しかし、筆者の中尾さんは植物が専門のようだけど、すごいバイタリティと文化人類学的な教養だな。流石です。2016/11/12

ちゃーびん

7
再読。 高野秀行氏の未来国家ブータンで紹介されていた本。 著者は学者ではあるが、探検本を読んでいるような面白さ。好奇心旺盛で知識も深く、旅をしているような気分になれた。1回目に読んだ時に雪男に関する記述があった事を忘れていたが、そんなもの!にまで反応する懐の深さもあって、かなり好み。特にブータンに行った人や、これから行きたい人にも読むといいのではないかと思う。 ★★★★★2022/07/07

Akihiro Nishio

7
中尾佐助も4冊目。本作も非常に面白かった。中尾佐助という人は本当にタフな人である。病気になって死にそうになっても、食べ物が尽きても決して植物の生態を観察することは忘れない。その植生から、住人達がどのような暮らしを育んできたのか、さらには何万年という地殻の変動まで読み取ってしまうというスケールの大きさ。山ヒルの大群の中の行進の描写は強烈で、自分にはとても無理と思った。しかし、当時のブータンはもはやない・・。2013/03/19

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