中公新書<br> 消費するアジア―新興国市場の可能性と不安

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中公新書
消費するアジア―新興国市場の可能性と不安

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  • サイズ 新書判/ページ数 237p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121021113
  • NDC分類 332.2
  • Cコード C1236

内容説明

中国の一人あたりGDPと上海をはじめとする大都市圏の繁栄ぶりとのギャップからわかるとおり、もはや国レベルの平均化された指標は意味を持たない。大都市圏ごとの新しい経済単位を使う必要があるのだ。本書は、注目を集めるアジア大都市圏の構造を「消費」の視点で分析、格差拡大や社会不安など懸念材料を現実に即して考察し、アジア経済の新しい見方とアジアの未来市場としての日本の立ち位置を示す。

目次

第1章 消費市場の拡大と高まる期待
第2章 メガ都市の台頭
第3章 浮上する新しい経済単位―メガリージョン化するアジア
第4章 成長力は農村まで届くか
第5章 アジア新興国の政治不安
第6章 アジアの持続的市場拡大の条件―新しい日本の立ち位置

著者等紹介

大泉啓一郎[オオイズミケイイチロウ]
1963(昭和38)年大阪府生まれ。86年、京都府立大学農学部卒業、88年、京都大学大学院農学研究科修士課程修了。東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、京都大学東南アジア研究センターを経て、90年に三井銀総合研究所(現・株式会社日本総合研究所)入社。現在、調査部環太平洋戦略研究センター主任研究員。東京大学非常勤講師、法政大学非常勤講師。著書に『老いてゆくアジア』(中公新書、2007年、アジア経済研究所発展途上国研究奨励賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

MAT-TUN

10
大泉先生の待望の新作。前著「老いてゆくアジア」でも衝撃を受けた。本書での、"興隆するアジア"は、国のトータルの力量ではなくその国にとっての例外的なメガ都市の力によるところが大きいという見方は炯眼。メガ都市を含む経済圏と、地方との格差が大きく、経済成長とともに国内の格差が自然に是正されると楽観的に考えることに対して警鐘をならしている。メガ都市の概念、中所得国のワナ、社会保障制度、技術開発など今後のアジアの持続的成長を考える上で、有用な論点がいくつもある。課題先進国としての日本の成長戦略も考えてみたい2012/12/29

jj

8
2011年刊。アジアといっても内容のほとんどが中国。タイが少々。大都市メガシティと地方農村との経済的繁栄のギャップは大きく、経済格差を生じている。国家の経済発展というより大都市中心の経済発展という側面が大きく。中国を中心としたアジア新興国の問題となっているのも確か。当時のホットな話題、中国とのレアアース問題や地球温暖化対策にも触れられている。中国の地域別GDPマップ等、図表は参考になる。現在の中国問題と対比すると、当時はまだまだカワイイ内容。2019/10/22

isao_key

7
前著『老いてゆくアジア』でアジア全体の少子化と高齢化についてのレポートと課題として社会保障制度の整備をあげた。本書では大都市化する一方で、開発が進まない地方都市との所得格差について考察する。タイの例をあげタクシン政権の失敗は、バンコク首都圏の下位中間所得層の対策にあったという。地方・農村の経済活性化のため一村あたり100万バーツの基金を設置したり、30バーツの医療制度を実施したが、バンコクに住む低所得者層に対しては何の対策も講じなかったことが不満を生み政権崩壊の要因となったというのは、新しい見方であった。2012/07/31

Kentaro

4
BOPビジネスの成功事例として、いくつか挙げられているのでそれを紹介する。ユニリーバは洗剤やシャンプーを小袋に詰め替え、農村の女性を販売員にすることで販路を広げ、合わせて、感染症を防ぐための衛生面の確保に関する重要性を教育していった。 ダノンは子供の栄養不足にヨーグルトを生産し、販路を開拓し、味の素が東南アジアの奥地まで調味料の販路を拡大している。 BOPビジネスでは、ボリュームゾーン以上にいかに販路を開拓するかが重要な戦略になる。2018/06/14

hexia

4
爆発的に発展するアジアのメガ都市、その発展を支える要素を丁寧に解説した良書。田舎を放っては社会不安を招き、田舎に手厚く補助をばらまくと財源を都市に求めざるを得ず同意が取れない、という指摘はまったくその通り。翻って我が国は人口ボーナスに朝鮮戦争特需が重なり、しかもその時期に「国土の均衡ある発展」を唱える政党が与党だったなど、本当に運が良かったとしか思えない。世界的に少子化が進み、これからは先進国に躍り出る前に人口減少局面を迎える国も出てくるだろう。我が国のためにも、「課題に先に直面した」我が国の役割は大きい2013/10/20

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