内容説明
明治初期から第二次世界大戦終結まで、日本がアジア・太平洋地域について作製した「外邦図」。陸軍が中心となり、戦争と植民地統治の「道具」として、朝鮮、中国、東南アジアと、進出に先駆けて作られた。その手段は、複製、秘密測量、空中撮影であり、現地での衝突も少なくなかった。本書は、初期の陸軍将校たちの偵察測量、日露戦争戦場での争奪、越境空撮など、従来知られていなかった作製の内実と利用の歴史を明らかにする。
目次
外邦図の世界
近代国家と地図作製
草創期の外邦図作製―海外地理情報の編集
朝鮮半島の偵察と測量―日朝修好条規締結以後
中国大陸の偵察と測量―陸軍将校たちの「旅行」
日清戦争と初期外邦図
日清戦争とその後―臨時測図部設置とロシアとの角逐
日露戦争―地図争奪と後方での測量
日露戦争終結後の臨時測図部
植民地の土地調査事業―台湾・朝鮮・関東州
第一次世界大戦・シベリア出兵と外邦測量
空中写真による地図作製の発展
満州事変から第二次世界大戦へ―中国と南方の外邦図
外邦図作製の拡大と敗戦
外邦図と現代
著者等紹介
小林茂[コバヤシシゲル]
1948(昭和23)年生まれ。74年京都大学・大学院文学研究科博士課程(地理学専攻)中退。九州大学教授などを経て、99年より大阪大学文学研究科教授(人文地理学)。2003年より放送大学客員教授、博士(文学)。著書『農耕・景観・災害―琉球列島の環境史』(第一書房、2003年、第4回人文地理学会賞受賞)、編著『近代日本の地図作製とアジア太平洋地域―「外邦図」へのアプローチ』(大阪大学出版会、2009年、日本地理学会優秀賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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