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中公新書
高橋由一―日本洋画の父

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  • サイズ 新書判/ページ数 178p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121021618
  • NDC分類 723.1
  • Cコード C1221

内容説明

代表作『鮭』『花魁』が歴史や美術の教科書に掲載されている高橋由一。彼は幕末から明治にかけて日本洋画界の礎を築いた、日本で最初の“本格的な洋画家”である。晩年、黒田清輝によって洋画界の勢力図は塗り替えられ、一時は忘れられた存在となった。だが、清輝登場の転換点を含め、由一の人生は洋画揺籃期の重要な局面とことごとくリンクしている。由一の事績を今日的視点で見直し、近代絵画史のうねりを活写する。

目次

序章 晩年の洋画沿革展覧会―一八九三年
第1話 画家「高橋〓(い)之介」
第2話 画学局に入局の事
第3話 ワーグマンに入門の事
第4話 上海旅行、そして維新
第5話 花魁
第6話 東海道、関西を往く
第7話 画塾創設
第8話 明治九年という転換点
第9話 洋画か日本画か
第10話 こんぴら詣で
第11話 美術館の夢
第12話 東北での足跡
終章 高橋由一の死後

著者等紹介

古田亮[フルタリョウ]
1964年東京都生まれ。93年東京国立博物館研究員。98年東京国立近代美術館(2001年より主任研究官)を経て、06年に東京藝術大学美術館助教授に就任、現在准教授。専門は近代日本美術史。04年「琳派RIMPA」展、06年「揺らぐ近代」展、07年「横山大観」展など多くの企業展を担当する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ホークス

33
2012年刊。高橋由一は「日本洋画(油絵)の父」と言われ、鮭や豆腐のリアルな絵が有名だ。小藩の武士だったが、洋画の真に迫った描写力に衝撃を受け、居留地で技法を学ぶ。努力の末に自身の絵は評判になるが、洋画の普及には至らない。画学校のスポンサーを探すうちに40才で明治維新。世の中では革新期の日本画が人気となり、志を遂げぬまま高橋は亡くなる。洋画が一般化した頃には、高橋の絵は古臭い「洋風画」とされ、長年忘れられた。著者は新分野に熱中する高橋を、根っからの開拓者だと言う。その意味で、高橋の物語は今も新しい。2021/10/20

壱萬弐仟縁

25
『鮭』:西洋技術の油彩画技法を学びながらも、西洋の物真似でないところに生れた作品。日本的 リアリズムというべき芸術的価値の見直し(ⅲ頁)。西洋画材の不足は由一にはたまらなく不満で、 それ以上に我慢ならなかったのは、不真面目な教官や同僚たちの態度であった(41頁)。 2015/05/06

umeko

11
「ひとりのサムライの物語だ」とあるように、由一の生涯は苦難との戦いの連続だった。それでも折れずに立ち向かっていくさまは、あの『鮭』のような迫力ある作品をに現れているのかもしれない。彼の作品の素晴らしさの一端を理解できた。2018/03/03

キムチ27

6
山風の小説で、由一が由緒ある「剣道指南」の後継ぎだった事を知り、読む。巻末で筆者が「由一と親しかった岸田吟香」との出会いを小説風に書くと・・「『吟香が連れていた劉生』が由一の絵をじっと眺めている」となるとあった。 これは小説ではないが、肩を並べるほど面白い。 少ないカラー図版に「晩年の由一」が載っており、覇気に漲り、日本洋画の開拓者として道なき道を邁進した彼の真骨頂を伺わせる。 晩年、三島の思いつきに引っ張られ、東北を歩き、想いを延々と書面にしたためて、中央へ出す。コピーもなかったこの時代に膨大な量の。2013/06/25

Wataru Hoshii

3
コンパクトでよく整理された高橋由一の評伝。この人にとっての(あるいはこの時代の日本人にとっての)「洋画」というものが、いま考えられているような「芸術」ではなくて、鉄道や建築などと同じ「技術」であったことが、高橋由一の絵画を理解する上で最も重要であることがよく理解できた。そしてこの「技術」を日本に普及させるための死にものぐるいの努力-必ずしも報われたとは言い難い-が、彼の人生そのものであることも。幕末明治という激動の時代を、ひとつのことを信じて生き抜く姿は、いまを生きる人々にも強い共感を呼ぶ。2013/02/12

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