内容説明
繰り返される改訂は、創作上の葛藤か、それとも溢れる野心の発露だったのか―19世紀オーストリアを舞台に、多くのユニークな作品を残した巨匠の、孤高の生涯をたどる。
目次
生涯篇(聖フローリアン教師時代まで(一八二四‐一八五五)
リンツ時代(一八五六‐一八六八)
ウィーンで(一八六八‐一八八四)
絶頂期(一八八四‐一八九一)
晩年(一八九一‐一八九六))
作品篇
資料篇
著者等紹介
根岸一美[ネギシカズミ]
1946年生まれ。1975年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。大阪音楽大学専任講師、大阪教育大学助教授、同教授を経て、1998年より大阪大学教授(音楽学)。1982‐84年、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団研究員としてドイツに留学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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RED FOX
11
苦学勉励したり精魂かけて曲を作りだすタイプではなく、天然に楽想が浮かぶ世間離れした天才肌だと思ってたので、日々昇給や昇格の請願書を出しまくる野心家ぶりが興味深い。56歳にして17歳に求婚するのも、そしてその後も若手にちょいちょい求婚・・・後世にこんなことまで全世界に公表されるなんて有名人は気の毒じゃのう。2014/07/06
twinsun
10
ブルックナーの人となりと生い立ち、努力し権威や恋愛に臆することなく果敢に立ち向かった生き様、作品の成り立ちや背景、今までCDジャケットなどで断片的に知っていた知識を整理し、作品に接するうえで理解を深めることができる内容だった。交響曲第8番を初めて聴き第二楽章に度肝を抜かれたことを懐かしく思い出す。2022/06/09
ぞね
2
お世話になっております「作曲家◎人と作品」シリーズ。この「ブルックナー」も簡潔で読みやすく、ほどよい深さでブルックナーの生涯を追うことができました。ただ、やたらと自己顕示欲の強い人物として書かれているが、他の解説書でも同じなのだろうか?2021/06/28
うな坊
0
「晩学」で「評価が遅れた」人だと思っていたが、早くから作曲をはじめ、生前にかなりの評価を得ていたことがわかった。「作品篇」の解説がありがたい。朴訥とした人だと思っていたが、これまた、かなり、ギラギラした部分もあり、私が抱いていた人物像がかなり変わった。2012/09/15
antoinette
0
軽い伝記を、と思って。やっぱりブルックナーは天然だった。あと、20代女性に求婚したりしてたのは知ってたが、10代の少女にピアノ曲を献呈しまくったりとか、本物のロリコンだったとはw ……とまあ面白い(?)エピソードも適度に振り撒かれています。作品については、ベートーヴェンからの影響をやたら強調されているのが疑問だったかも。著者曰く、交響曲第8番はあんなところやこんなところが〈第9〉に似ているとのことだが……?2011/12/16