出版社内容情報
「病とともに生きる」現代に、臨床心理学、医療人類学、医学は、どんな貢献ができるのか。『いのち』という観点から考える。近年の科学技術と医療技術の急速な発展によって、「病とともに生きる」「医療とともに生きる」「科学技術とともに生きる」側面が拡大してきた。そこでは、いのちの本質、生と死の本質、人間の本質、自己の本質といった、人間が古代から掲げてきた問題に新たな捉え直しとアプローチが求められている。
本書では、こうした問題にさまざまな臨床現場における第一線の臨床家が、心に学ぶことを通じて、それぞれの心が捉えた、その現代的・未来的意義と普遍的意義についての論を展開している。
人生にとって真にかけがえのないものとは何なのか。「生きる」とは、「死に逝く」とは何なのか。暴力が政治、経済、社会、文化、教育など、さまざまな領域に侵襲し、人間の営みを危機に陥れている現代にあって、人類はどのように創造へと向かうのだろうか。
臨床心理学、医療人類学、医学等の臨床現場から寄せられた、瑞々しい論文集。
「京大心理臨床シリーズ」の刊行にあたって
新たな船出にあたって
病とともに生きること、医療と科学技術とともに生きることをめぐる、普遍性の個性化への問い――はじめに に代えて
伝 牧谿「竹雀図」について
特別寄稿 人生に訪れる変容 アーサー・クラインマン〔皆藤 章訳〕
第1章 何もしないことに全力を注ぐ――アーサー・クラインマンの「プレゼンス」に寄せて 皆藤 章
第2章 いのちの要請に応える学問の誕生
1……臨床実践指導学の誕生とその後の発展――第四ステージへの出立
高橋靖恵
2……糖尿病医療学の誕生と発展、今後の展望 森崎志麻
第3章 周産期医療現場におけるいのちの臨床 白神美智恵
第4章 心的外傷における沈黙――「平等に漂う注意」についての文化論的考察 西 見奈子
第5章 現在の家族における暴力を考える――暴力性の意味と心理臨床のありかた 布柴靖枝
第6章 医療の場におけるケアするひとへのケア――医療従事者の心理的支援という実践から 坂田真穂
第7章 ケアに生きる臨床とスーパーヴィジョン
――セラピストは無用であることの苦痛にどう持ち堪えるか 長谷綾子
第8章 がん治療を受けるひとと社会をつなぐケアの本質 野澤桂子×皆藤 章
第9章 想い出のケアをすること アーサー・クラインマン〔皆藤 章訳〕
特別寄稿 愛しさ いとしさとかなしさのあわいに 松木邦裕
おわりに
監修者あとがき
索引
執筆者紹介
皆藤 章[カイトウ アキラ]
監修
?橋 靖恵[タカハシ ヤスエ]
編集
松下 姫歌[マツシタ ヒメカ]
編集
目次
第1章 何もしないことに全力を注ぐ―アーサー・クラインマンの「プレゼンス」に寄せて
第2章 いのちの要請に応える学問の誕生
第3章 周産期医療現場におけるいのちの臨床
第4章 心的外傷における沈黙―「平等に漂う注意」についての文化論的考察
第5章 現在の家族における暴力を考える―暴力性の意味と心理臨床のありかた
第6章 医療の場におけるケアするひとへのケア―医療従事者への心理的支援という実践から
第7章 ケアに生きる臨床とスーパーヴィジョン―セラピストは無用であることの苦痛にどう持ち堪えるか
第8章 がん治療を受けるひとと社会をつなぐケアの本質
第9章 想い出のケアをすること
著者等紹介
皆藤章[カイトウアキラ]
京都大学大学院教育学研究科教授。博士(文学)。臨床心理士
〓橋靖恵[タカハシヤスエ]
京都大学大学院教育学研究科准教授。博士(教育心理学)。臨床心理士、家族心理士
松下姫歌[マツシタヒメカ]
京都大学大学院教育学研究科准教授。博士(教育学)。臨床心理士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。