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内容説明
ヨーロッパの近代は、その後の世界を決定づけた。現代の繁栄も混迷もここに発し、21世紀になってなお世界が解決に苦闘する難題もまた、ここに源をもっている。では、なぜそのようなことになったのだろうか。教科書で習った近代ヨーロッパの重大事件、アメリカ合衆国の独立や、フランス革命、産業革命などは、私たちの生きる現代世界にどのような影響を与えているのだろうか。複雑で多様な要素からなる歴史を解きほぐし、個々の出来事の知識だけからは計り知れない近代ヨーロッパのインパクトの意味と深さを、平明かつ総合的に考える。
目次
ヨーロッパによる海外進出の開始
世界交易における覇権争い
一八世紀における社会経済と政治
「啓蒙の光」と近代思想の誕生
人口増加の開始から「移動の世紀」へ
革命に揺れる大西洋世界
ウィーン体制と四八年諸革命
工業化と社会の変容
農村のヨーロッパと都市のヨーロッパ
科学技術の実用化と産業文明の成立
様々な帝国主義
第一次世界大戦という激震
歴史文化の継承と芸術的創造
近代ヨーロッパの光と陰
著者等紹介
福井憲彦[フクイノリヒコ]
1946年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、学習院大学長。フランス近現代史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
12
放送大学教材をもとにしたもの。ヨーロッパの世紀であった19世紀を中心に。人口、工業化、都市化の各国比較の表が面白い。人工面では、1800年にはフランスとオーストリアが二大大国だったのが(ロシア除き)、100年でイギリス、ドイツの激増、フランスのみ早くも伸び悩み(だから世紀末仏ではドイツに勝つための多産という議論が)。農業人口は、イギリス、ドイツでは激減するが、フランスでは半分にも減らない。イギリスに遅れ、ドイツに完全にキャッチアップされる仏。政変の多さも一因。フランスの変化は直線的でドイツは指数関数的か2021/06/15
とうゆ
12
近代ヨーロッパ史がトピックスごとにコンパクトにまとめられている。普通の教科書よりは面白いかな。2015/07/31
うえ
8
歴史は繰り返される、とレーニンが考えはじめた端緒。「ヨーロッパ外への投資が…1870年代から拡大していくことになる。これはレーニンによる帝国主義の定義、すなわち資本主義の最高段階としての独占と金融資本による支配、という理解の仕方の根拠となった状態である。ただし、レーニンはマルクス主義的な唯物史観にもとづいて、第一次世界大戦下のヨーロッパ情勢を分析し、つぎは自分たちの社会主義の出番だ、ということをいわんがために、このような定義を提起した、という点には注意しておこう」2019/08/12
xin
3
放送大学講義用のテキストだったというだけあって基本的な事柄をわかりやすく幅広く抑えてある。この時代の入門の一冊としてはいい感じ。2015/08/20
ア
2
19世紀のヨーロッパ史が知りたくて読んだ。かなりザックリなので、詳細はわからず。流れや論点を掴むのによい。2021/01/11