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あらゆる文士は娼婦である―19世紀フランスの出版人と作家たち

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  • サイズ B6判/ページ数 280p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560095157
  • NDC分類 023.35
  • Cコード C0022

出版社内容情報

名作誕生の裏には編集者・出版者・書店あり。手練手管、権謀術策、偶然と必然──作家たちとわたりあった6人の出版人の奮闘物語名作誕生の裏に編集者・出版者・書店あり
 19世紀フランスには多くの優れた小説・詩が生まれ、200年近く経った現在でも世界中で読み継がれている。これらの作品が世に出るためには、当然ながら、企画を立て、原稿を受け取り、編集・印刷して書店に並べる編集者・出版者がいた。作品の受容を通じた作家同士の影響関係や、文学潮流の形成も、彼らの存在なしにはありえなかったであろう。それにもかかわらず、今日、文学史が語られる際に、こうした出版人の存在はせいぜい時代背景として説明される程度である。
 本書は、書簡や史料から史実を丁寧に拾い上げ、これまで脇役とされてきた当時の出版人たちに光をあてる。登場するのは、エッツェル、ラクロワ、シャルパンティエ、フラマリオン、ルメール、ヴァニエなど。対する作家・詩人は、ユゴー、フロベール、ヴェルヌ、ゾラ、ボードレール、マラルメ、ヴェルレーヌ……。
 書名はガリマール社の創設者ガストン・ガリマールの「著者というのは、すきあらばいつでも他の男に身をまかせる娼婦のようなもの」という言葉から。権謀術策、手練手管、偶然と必然、さまざまな要素がからみあって「名作」や「大作家」が生まれる過程をたっぷりと堪能できる1冊。

石橋 正孝[イシバシ マサタカ]
【石橋正孝】東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学、パリ第八大学で博士号取得(文学博士)。日本学術振興会特別研究員を経て、現在、立教大学観光学部交流文化学科助教。専門はジュール・ヴェルヌ。著書に『〈驚異の旅〉または出版をめぐる冒険 ジュール・ヴェルヌとピエール=ジュール・エッツェル』『大西巨人 闘争する秘密』(以上、左右社)、訳書にアンヌ・ボケル、エティエンヌ・ケルン『罵倒文学史 19世紀フランス作家の噂の真相』(東洋書林)【倉方健作】東京大学大学院人文社会系研究科博士課程退学後、同研究科で博士(文学)取得。日本学術振興会特別研究員を経て、現在、九州大学言語文化研究院助教。専門はヴェルレーヌを中心とする近代詩。著書に『カリカチュアでよむ19世紀末フランス人物事典』(共著、白水社)

倉方 健作[クラカタ ケンサク]

内容説明

名作誕生の裏に編集者・出版者・書店あり。権謀術策、手練手管、偶然と必然…小説家や詩人とわたりあった出版人たちの野心と手腕。

目次

プロローグ
第1章 エッツェル書店とラクロワ・ヴェルブックホーヴェン書店―ユゴー、フロベール、ボードレール(『レ・ミゼラブル』争奪戦;国際書店をめぐる作家たち)
第2章 マルポン・フラマリオン書店とシャルパンティエ書店―ゾラ(エミール・ゾラの修業時代;国際書店の遺産相続人たち―エルネスト・フラマリオンとジョルジュ・シャルパンティエ)
第3章 ルメール書店―「パルナシアン」たち
第4章 ヴァニエ書店―ヴェルレーヌ
エピローグ―十九世紀から二十世紀へ

著者等紹介

石橋正孝[イシバシマサタカ]
東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学、パリ第八大学で博士号(文学)取得。日本学術振興会特別研究員を経て、立教大学観光学部交流文化学科助教。専門はジュール・ヴェルヌ

倉方健作[クラカタケンサク]
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程退学後、同研究科で博士号(文学)取得。日本学術振興会特別研究員を経て、九州大学言語文化研究院助教。専門はヴェルレーヌを中心とする近代詩(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

35
作家のかげに隠れがちな出版社側から見たフランス文学史。ヴィクトル・ユーゴーの『レ・ミゼラブル』を巡る三又攻防戦、自ら無料読書会を開いても商業出版が難しかった作家とは。現在では自費出版というと金を出させて著者を騙す悪徳商法のように言われるが、当時の売れないフランス文学者(詩人)達は殆どそうだった。2016/11/28

のれん

7
レ・ミゼラブルのような清貧を描いた裏でこんな金の戦いがあったとは。作者もやり手だが出版はもっとあくどい。いやそうでなければ、世に政治も宗教も関係ない文学を届けることはできなかった時代なのだろう。 後の世にデュマが出てくることを考えると、文学の歴史は長いようで短く、そして色濃いものだなぁと関心しきりだ。 それで途中まで気づかなかったが、著者は日本人。その文体のテンポや比喩、言い回しなど間違いなく欧米の著作の翻訳であると思っていたので驚いた。タイトルといい、フレンチなセンスを味わいながら読める楽しい本。2020/06/20

しー

5
文学作品が今日まで生き残ってこられたのは、資本主義の中で作家というものが職業化し、出版者と厳しい取引きを行なってきたから。その意味でヴィクトル・ユゴーはただ者ではないし、編集者のエッフェルさんてエッフェル塔のエッフェル⁈と驚きながらも、非常に難しい本でした。しかし、たまたま知り合いのフランス文学の先生から与えていただいたこの本に必死に取り組んでいると、一種の瞑想のような静かな心境に陥り、学生時代の自分が時を超えて会いに来てくれているような、そんな錯覚を覚えました。2017/05/03

ozapin

0
エミール・ゾラがアシェット書店の社員だったというのはびっくり。丁稚から広告部と出世していくが、アシェットさんと徐々にあわずラクロワに移るのだという。2017/01/07

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