内容説明
一九六〇年代以降、物象化論に立つ思想家としてこの国のマルクス主義理論をリードした著者が、『資本論』の示す哲学的新地平を価値論において解く。価値とは人間労働が生産物に凝固したものか?あるいは商品交換のなかで定まる価格同然のものか?この対立を端的に乗り越え、社会的分業の協働連関態こそが、個々の商品を価値として通用させる所以を解き明かす。増補版の待望の再刊。
目次
序破章 端初的商品規定と価値実体(『資本論』の論理的出発点をめぐって;ヘーゲル弁証法の端初論と展開の論理;「商品世界」の与件と価値の実体規定)
第1章 問題論的背景と価値形態論(「価値形態論」の直接的諸課題と射程;「価値」の実体論的規定と形態的規定;『資本論』における価値形態論の所説)
第2章 物象化論の視座と価値規定(「価値形態」の対自・対他的四肢構造;「価値」の「実体論的」規定の再措定;「価値存在」の特異性と商品論の視圏)
第3章 物神性論と商品世界の構制(「商品」の「物理的性格」とその秘密;「交換過程」論と「商品世界」の矛盾;『資本論』における商品論の論理構成;暫定的定位―拾遺と補説のために)
増補 ルービンの問題に言寄せて
著者等紹介
廣松渉[ヒロマツワタル]
1933年生まれ。東京大学大学院哲学科博士課程修了。元東京大学教授。専攻は哲学。1994年没。戦後日本を代表するマルクス主義思想家・哲学者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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