出版社内容情報
『北斎漫画』初編の刊行より200年を記念して、全15編の見所を漫画史研究の第一人者がわかりやすく紹介する。図版150点掲載。
内容説明
北斎漫画はこれまで絵手本と考えられてきたが、じつは戯画・諷刺画の要素を多分に含み持ち、日本マンガの原点に位置づけられる。コマ表現や吹き出し、キャラクター設定など、北斎の先駆的な技法に着目しながらその豊饒なる世界を徹底解説。二〇〇年の時を経てもなお読み継がれる江戸のベストセラー本を読み直す。
目次
第1部 全体像(『北斎漫画』の成り立ち;絵手本か戯画本か;『北斎漫画』の「漫画」とは;北斎が見てきた戯画本)
第2部 戯画・諷刺画各論(ナンセンスな面白さ;コマ表現の独創性;権威・権力に放たれた諷刺の矢;キャラクター・ドラマ作りの名手;江戸時代ビジュアル百科;永遠なる『北斎漫画』)
著者等紹介
清水勲[シミズイサオ]
1939年東京生まれ。編集者、美術館研究員、大学教授を経て日本漫画資料館を主宰。現在、京都国際マンガミュージアム研究顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
83
映画Hokusai始まりましたね。 絵のうまさと、今見ても笑える感覚が、さすが天才。 スズメ踊り、の一連の動きはそのままアニメにできるそうです。 北斎漫画、はスケッチという意味で、今の意味での漫画、という使われ方は明治23年、福沢諭吉の妻の姉の息子、が使ったのが最初。 漫画史の一環として紹介した本。再読。2021/05/28
nizimasu
5
マンガの源流として約4000点あまりの北斎漫画を読み解くという意欲作。新書ながら図版が多くて、その解説も丁寧だから、北斎の見た江戸の風俗だったり、当時から人気の物語の登場人物もわかったりして、ユーモアと日常の中におかし身を見つけるスタンスは、今の日本にもっと必要だなと思う。どうもこの前のボストン美術館の展覧会でも感じたが、絵の触れ幅とその確立した世界の中に没入すると、とても心地よいのは人間の業とそれをモノともしない自然が同居しているからかもしれない。虚像と日常。自然と個人。何ともおかしみ深い2014/11/02
S_Tomo🇺🇦🇯🇵
2
江戸時代に花咲く大衆芸術である浮世絵の代表的作家の一人、北斎の「北斎漫画」を今の「漫画」につながるという視点から見直した一冊。数々の「絵」を引用し解説をつけており、具体的に分かりやすい内容になっていて、著者の主張にも頷ける。2014/08/28
getsuki
2
北斎漫画初編刊行200年記念、と帯にあり。北斎漫画の一部と、北斎漫画に影響を受けた作品を取り上げています。2014/07/18
shou
1
吹き出しやコマ表現に現代漫画に通じる技法を見出している。解説が一貫していて主張がわかりやすい。図版は多いのだけど、新書サイズではレイアウトが煩雑で、ページを前後しつつ図を探さなくてはならないのが残念。2014/10/10