内容説明
イギリス経験論哲学の主脈にあって、数学・医学・経済学など多方面にわたる科学への関心、また常識を擁護する立場から、独特の哲学を豊かに結実させたバークリ。聖職者としての宗教活動はもとより、アメリカでの大学創設事業などの多彩な社会的活動と、「心の中の世界」を探究する思想とはどう関連していたか。国際的に再評価が進む特異な思想家の生涯を語り、その哲学の核心を明快に捉える。
目次
第1章 バークリの生涯
第2章 「心の中」の二面性
第3章 デカルト―ロック―バークリ
第4章 「存在するとは知覚されることである」
第5章 自然法則と知覚の構築
第6章 他者について
第7章 バークリと科学
第8章 知覚と知識
著者等紹介
戸田剛文[トダタケフミ]
1973年生まれ。1998年京都大学総合人間学部卒業。2005年京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了(人間・環境学博士)。同年同研究科助手。2007年同研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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白義
4
極めて常識的にして、非常識。バークリはそんな不思議な魅力を持った哲学者である。この本はバークリの数少ない本格的な入門概説で、バークリの観念論と物質論が科学や他者論とどう絡むか、彼は果たして穏健な常識擁護者なのかラディカルな常識破壊者なのか、といった問題が手際よく整理されている。視覚論の示唆とは無意識である、とか、科学観のプラグマティズム性は納得した。やはり現代にも通じる哲学者だ2012/09/13
ppp
0
再々読。他者論を中心に。他者の存在の扱いはやはり難しい。言語や教育のシステムと切り離せないことを改めて思い知らされました。2010/11/04