内容説明
自然の恵み、生態系サービスを湧出する源である生態系の維持機構及び連環構造を自然資本としてとらえ、その自然資本の保全により、人類がその恵みを持続的に賢く利用し続けていくためには何が必要であるかを考究する。現在急速に進行中の生態系の危機の原因解明や、人と自然との長いかかわりから生み出されてきた管理手法や政策といった危機の打開策についてのこれまでの知見を集大成し、自然資本の保全の新たな可能性を拓く。
目次
自然資本研究の課題と方法
第1部 持続可能な発展と自然資本(自然資本の過少利用問題―わが国における再生可能資源を中心に;自然資本の管理における予防原則とリスク分析―科学的不確実性下における合理的な政策決定に向けて;レジーム・シフトのマクロ経済分析―クリティカル・レベルの特徴づけ)
第2部 自然資本の保全と管理(野生生物の利用と違法取引の経済学―その理論とクマノイ取引への応用;中山間地域における二次的自然の荒廃と保全策―基準点を用いた制度設計;島嶼地域における地下水資源の保全と管理―南西諸島の事例から;地域社会による生態リスク管理の可能性―鹿児島県与論島のサンゴ礁劣化問題の事例から考える;漁業コモンズの機能と管理組織の役割―コモンズの機能メカニズムを考える;市場経済下の共有資源管理―ニュージーランド漁業におけるITQ制度とマオリの共有的漁業権)
第3部 自然資本の評価(環境資源に対する途上国住民の選好―フィリピンラグナ湖漁村での調査から;森林生態系サービスの環境評価と政策利用―生態系サービスへの支払いに向けて;レジリアンスと持続可能な発展―評価論からの結合)
研究の到達点と残された課題
著者等紹介
浅野耕太[アサノコウタ]
1962年生まれ。京都大学農学部卒業、京都大学博士(経済学)。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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