内容説明
五世紀半ば、ブリテン島を支配していたローマ人が去った後にやってきたアングロサクソン人。彼らはいかにして「七王国」時代を築いたのか。イングランド王国として統一されるまでの、知られざる英雄たちの活躍を描く。
目次
かくして彼らはやって来た―プロローグ
ケント王国
イーストアングリア王国
ノーサンブリア王国
マーシア王国
ウェセックス王国
二十一世紀に続く七王国―エピローグ
著者等紹介
桜井俊彰[サクライトシアキ]
1952年に生まれる(東京都出身)。1975年、國學院大學文学部史学科卒業。1997年、ロンドン大学ユニバシティ・カレッジ・オブ・ロンドン(UCL)史学科大学院中世学専攻修士課程(M.A. in Medieval Studies)修了。現在、エッセイスト、英国史研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キャプテン
36
★★★★★_「世界はきっと、ぼくのものフェア」第ニ弾、アングロ・サクソン人編。世界史は、侵略者たちを抜きして語ることができない。今話題のラグビー発祥国も例外ではない。ブリテン諸島(イギリス)にいたケルト人は、アングロ・サクソン人に侵掠された。今のウェールズは、ケルト人たちの流れを強くくむ。イングランドというのは、アングロ人から来ている。ウェールズとイングランドが未だに仲違いするのはここにある。アングロサクソン七王国時代、とても興味深い。厨二病っぽい時代の名も良い。桜井氏のウェットに富む文体もグッドでした。2019/10/09
びっぐすとん
17
図書館本。世界史の中で学ぶ英国史はイングランド統一以降だったのか、アングロサクソン7王国のことは殆ど知らなかった。とにかく「エゼルなんとか」「なんとかルド」ばかりで名前を覚えるのが大変だが、これこそがアングロサクソン由来の名前で、ヘンリーだのチャールズだのフランス由来の名前よりエドワードみたいな名前の王族の名にホッとする英国人もいるとか。今でも彼らはイングランド人、ウェールズ人、スコットランド人と自分の出自にこだわるんだなあ。すごく読みやすく、まだ半分伝説みたいなワイルドな時代にとても興味を持てた。2019/11/25
凛
17
5〜9世紀頃、アングロサクソン人が築いた七王国。伝説も含まれるような古典文学をもとに、七王国の繁栄と衰退の歴史を綴った一冊。著者の考察や解説を交えてわかりやすく昔話のように語られています。ユーモア溢れる語り口調で楽しく読めました。当時の文献や覇王の選出にはキリスト教の影響が色濃く出ているそうで、それに対する著者のツッコミが多く、なるほどそういう解釈かと面白かったです。この時代の王とはカリスマ性のある戦士だったんですね。キリスト教の介入によって獰猛さが失われていく様に興味深いものがありました。2014/07/02
ジュンジュン
15
何と魅惑的なタイトルだろう、アングロサクソン七王国物語。基本史料が二つしかない為、実証主義を旨とする歴史学だと、伝説的な部分をそぎ落とし何も残らない。著者は言う、それじゃつまらない、歴史と文学の境界が曖昧であるほど、魅力は増してくるのに。←だから「物語」と銘打ったのか。アングロサクソン七王国を正面から取り扱うのは本邦初らしい。著者は胸を張る、未知の醍醐味を堪能あれと。←ほんと久しぶりの感覚、最初からワクワクが止まらない!2022/07/17
ユビヲクワエルナマケモノ
9
アングロサクソン人のブリテン島への上陸からいわゆる七王国の興亡とアルフレッド大王までの歴史。「七」王国なのに五王国しか章立てがないが「エセックスとサセックスについては、もともと史料や記録、あるいは伝えられているエピソードなどが他の五王国と比べ極端に少ない」ため全体の文脈で触れるという形。しかもこの時代の史料は『イングランド人民の教会史』と『アングロサクソン年代記』位しかないとのこと。そんなないないづくしの中でこれほどまでに分かりやすい語り口でこの時代を解説して頂けるのは非常にありがたい。碩学のなせる業だ。2022/01/02