血塗られた慈悲、笞打つ帝国。―江戸から明治へ、刑罰はいかに権力を変えたのか?

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  • サイズ B6判/ページ数 409p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784772695176
  • NDC分類 322.15
  • Cコード C0021

内容説明

日本の権力の深層構造を暴く。『カムイ伝』から『蟹工船』まで、刑罰の歴史が、その背景を明かす。

目次

序章 江戸から明治へ、刑罰・近代化・帝国の支配
第1章 秩序の象徴―将軍のお膝元での刑罰と権力
第2章 血塗られた慈悲―幕府のふたつの顔と被差別民
第3章 身分の力―牢屋敷に投影された江戸時代の社会構造
第4章 混乱と救済―人足寄場の歴史的意義
第5章 文明の証しとしての刑罰―幕末における治外法権と改革の波
第6章 規律社会へ―日本における監獄の誕生
第7章 国家・資本・監獄―文明開化の深層構造
終章 植民地帝国と刑罰―最新の監獄に野蛮な刑罰

著者等紹介

ボツマン,ダニエル・V.[ボツマン,ダニエルV.][Botsman,Daniel V.]
ハーヴァード大学・歴史学部の准教授を経て、現ノースカロライナ大学チャペルヒル校・准教授。オーストラリア国立大学アジア研究学部卒。英オックスフォード大学大学院および米プリンストン大学大学院で日本近代史を研究。プリンストン大学で奨学金を得て、調査研究のため来日する。日本滞在中は、北海道大学法学部で教鞭も執りつつ、執筆を進める

小林朋則[コバヤシトモノリ]
翻訳家。筑波大学人文学類卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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小鈴

8
刑罰ほど権力構造を浮き彫りにするものはない。江戸と明治では統治術はまるで異なる。中国の影響を受けて発展した江戸の刑罰を西欧から野蛮とみなされ治外法権などの不平等条約を締結された明治日本は、西欧の近代的な刑罰を必死に取り入れて条約を改正するも、植民地に対しては近代的な監獄と江戸時代の笞打ちの復活であった(江戸は背中、明治は尻)。それは「進歩的な」白人社会が植民地に行っていたことではあるが、日本が西欧の仲間入りを果たそうとすると野蛮の証拠とされ黄禍が起きる。という話だけではないんだけど、書き尽くせないなぁ。2013/11/17

やいっち

6
 「江戸から明治へ、刑罰がいかに社会秩序の基盤となり、権力を形成・変革してきたのかを、解き明かした画期的論考」だとか。とりあえずは、好奇心から手を出したのだが……。 江戸時代や明治以降戦前などの刑罰の歴史を通して、権力の威信の維持や保持の構造を知る。権力者らの政(まつりごと)を行う技術。江戸や明治維新を美化する趨勢が垣間見られる中、こうして実態に少しでも迫る努力は貴重だと思う。 2016/07/28

うらじ

6
苛烈で残虐な刑罰と、融通・手加減を組み合わせたマッチポンプな統治システムにより、畏怖されながらも慈悲深い仁君というアンビバレントなイメージを作り出した江戸幕府。お上と下々は親子のような御仕置き関係であった。それが明治になりパノプティコンが輸入され日本は規律社会へと変貌を遂げた。残虐な刑が消えたが実態は劣悪。通常の1/4の人件費で使える囚人は道路建設、北海道開拓、炭鉱掘削など過酷な労働が課され1884~1894の間で4万4千人が獄死した。劣悪な環境に暴動・脱獄が多発し看守はピストルで武装するようになった。2014/08/24

yooou

4
☆☆☆☆☆ 全く知らなかった江戸、そして近代日本の成り立ちに迫る。予想を遙かに越えた面白さでした。2010/01/09

だ~しな

2
研究テーマと関連したため読了 作者も言及しているが、フーコーが監獄の誕生で取り上げている中世の王権を中心とした司法制度から近代の司法改革に連なる流れを、江戸から明治時代の急激な変化を刑罰・監獄制度の観点から捉えている 徳川幕府、明治政府の刑罰制度の目的とその施行背景を資料と歴史学説を中心に仔細に読み取っており、その裏側に何があったのかを分かりやすく読み取ることが出来る 歴史と資料の読み取りも丁寧で、作者の主張の少ない分析的で読みやすい構成になっている 日本の刑罰関連の著作では名著の出来2016/01/13

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